
韓国政府は、北朝鮮が先月29日に公開した高濃縮ウラン(HEU)製造施設を平安北道寧辺(ピョンアンプクト・ヨンビョン)の核施設と判断していることが分かった。当時、北朝鮮メディアは、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「核物質生産基地」と「核兵器研究所」を現地指導したとし、複数の写真を公開したが、施設の位置と視察の日時は明らかにしなかった。米大統領選挙直前(昨年9月)とトランプ政権発足直後(先月29日)にHEU施設2ヵ所を異例にも公開し、対米核圧力を強めている。
韓国政府消息筋は3日、「精密分析中だが、初期の判断は当該施設が降仙(カンソン)ではなく寧辺ということだ」と明らかにした。施設内部にウランを濃縮する遠心分離機などの装備が並んでいる様子は昨年9月に公開した核施設と似ているが、全体的に施設が老朽化していることから、当該施設が寧辺や降仙ではなく「第3の核施設」である可能性は低いと見ているという。政府は、昨年9月に北朝鮮が初めて公開したHEU施設を降仙の核施設と判断している。
北朝鮮が、地下にも設置が可能で、規模が小さく捉えることが難しいHEU生産施設を4ヵ月間で2ヵ所も公開したのは、今後の米朝交渉で核凍結と軍縮の要求を有利にするためとみられる。核物質であるプルトニウム抽出工程の場合、大規模な原子炉や再処理施設で行われるため、比較的関連活動が韓米の偵察兵器にさらされている。
政府は、北朝鮮が寧辺と降仙で1万~1万2千個の遠心分離機を稼働中であると推定している。これは毎年200~240キロのHEUを生産できる水準で、算術的にHEU施設で毎年最大10発の核弾頭を確保できる。北朝鮮は最近、寧辺と降仙のウラン濃縮活動も加速しているとされる。
一方、寧辺核施設ではプルトニウム生産活動も続いている。寧辺核施設内の5MW(メガワット)級原子炉と実験用軽水炉(ELWR)が稼働し続けているからだ。もしこれらの施設が「フル稼働」すれば、年間26キロ(核弾頭最大7発)のプルトニウム生産が可能と推定される。政府は、北朝鮮がプルトニウムをいつでも抽出できるように、2021年に再稼働した寧辺原子炉を使用済み核燃料棒の引き出し及び再処理が可能な状態に置いていると判断している。原子炉を稼働して生産した使用済み核燃料棒を核施設内の放射線化学実験室で再処理すれば、プルトニウムを抽出することができる。
申圭鎭 newjin@donga.com