
「今の韓国は『三界火宅(さんがいかたく)』の状況にあります。しかし、いかなる場合でも暴力は許されません。暴力はさらなる暴力を呼ぶ種になりかねませんので、そういうことが起こらないように断固たる法的措置が不可欠です」
21日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の韓国仏教歴史文化記念館で開かれた大韓仏教・曹渓宗(チョゲジョン)のチヌ総務院長の新年記者会見は、いつもと違う雰囲気だった。チヌ僧侶は「新年を迎えた韓国は政治的危機、民主主義の危機、経済的困難に直面している三界火宅の状況にある」と話した。法華経の一節である三界火宅は、煩悩が絶えない衆生の世界が、炎に包まれ燃えさかる家のようだという意味だ。
特に、デモ隊がソウル西部地方裁判所に乱入し暴力を振るった事件について、異例の強力な対応が必要だと強調した。「人が一次的に持つべき心が良心であり、意見を表明したい人は誰であれ良心に従って表現しなければならない」とし、「良心より欲が過度になれば欲が良心を覆い、過激な言動や行動で表れる恐れがある」と憂慮した。
また「間違った考え、言葉、行動は、結局は業となります。すぐには避けられるかもしれませんが、いつかはその過ちに対する罰を受けることになります。皆がもっと慎重に考えて、話して、行動することを願います」
ただ、チヌ僧侶は「寒い冬が過ぎれば暖かい春は来る」として「苦痛を乗り越えてこそ成就が訪れ、混乱を乗り越えてこそ平和が訪れる」とも説いた。また「この冬、傷ついたすべての国民の心に平安が訪れるよう韓国仏教が努力する」という約束も忘れなかった。
曹渓宗はこの席で、昨年12月29日に全羅南道務安(チョルラナムド・ムアン)空港で起きた旅客機事故に関連し、今年から毎年10億ウォン以上の活動基金を造成し、社会的慈悲を実践するボランティアを育成し、活動を後押しするという計画も発表した。
国民の精神健康増進に寄与するため、ソウル城北区安岩洞(ソンブクク・アンアムドン)に中央禅瞑想センターを設立し、禅瞑想を普及させ、テンプルステイ(お寺体験)など多様なプログラムを継続的に実施する方針だ。鼻先が地面につくほど倒れている慶州(キョンジュ)南山(ナムサン)の磨崖仏を立て直す「入仏」のために5月中に模擬実験を行い、下半期にその結果を発表する予定だ。
李鎭求 sys1201@donga.com