
トランプ米大統領が就任初日の20日(現地時間)に、計45件の行政措置(大統領令25件、覚書11件、宣言文5件、任命4件)に署名した。また、バイデン政権時代の措置78件を撤回する内容の大統領令にも署名した。政権2期目の初日から事実上100件を超える行政措置に署名し、大々的な変化を予告したのだ。特に、議会の承認なしに大統領の署名だけで政策推進が可能な大統領令を最大限活用し、反移民を含む米国第一の公約を迅速に推し進め、バイデン政権の痕跡を消す考えを明らかにしたと指摘されている。任期序盤から強力な「MAGA(米国を再び偉大に)ストーム」で、政権1期時に完成できなかった「トランプ式アメリカニズム」の基調を定着させようとしているとみられる。
トランプ氏は同日、メキシコと接する南部国境に国家非常事態を宣言した後、不法移民の亡命禁止、国境の壁の建設など、第2次トランプ政権のアイデンティティを示す各種反移民大統領令に署名した。既存の貿易協定を見直し、貿易赤字の原因を調査するよう指示した。高率関税賦課の意志がうかがえる。
また、環境保護、「多様性・公平性・包括(DEI)」など、バイデン政権が重視した政策も撤回した。トランプ氏は政権1期目に「パリ協定」から離脱したが、バイデン氏が就任後に復帰した。トランプ氏は同日、ワシントンの有名な屋内競技場「キャピタル・ワン・アリーナ」で支持層の歓声の中、同協定から再び離脱する大統領令に署名した。
トランプ氏は2017年の1期目の就任時にも、前任者であるオバマ大統領の核心政策である「オバマケア(医療保険制度改革)」撤回のための大統領令を皮切りに、1週間で13件の大統領令に署名した。トランプ氏は同日、就任式で、「米国の黄金の時代が始まる」と宣言し、「私は任期中、一日も休むことなく米国を最優先にする」と述べた。
一方、トランプ氏は、ホワイトハウス執務室で取材陣との応答中に北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と呼んだ。国際社会が公式に認める「核兵器国(nuclear weapon state=米国、英国、フランス、中国、ロシア)」とは異なるが、事実上、核を保有している国を指すときに使われる表現だ。また、トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記について、「彼が好きで、非常にうまくやっていた。彼も私が戻って来たことを歓迎するだろう」とも述べた。北朝鮮との直接対話を推進する意向を示唆した発言とみられる。
申晋宇 niceshin@donga.com