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カルトの帝王、デヴィッド・リンチ監督が78歳で死去

カルトの帝王、デヴィッド・リンチ監督が78歳で死去

Posted January. 18, 2025 08:57,   

Updated January. 18, 2025 08:57

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「本当に奇妙な世界(strange world)だ」(映画「ブルーベルベット」より)

映画「ブルーベルベット」やテレビシリーズ「ツイン・ピークス」等を通じて、世の中の裏に潜む人間の不安を捉えた「米国カルト映画の巨匠」デヴィッド・リンチ監督が亡くなった。享年78歳。

故人の遺族は16日(現地時間)、「芸術家であり、一人の人間であるリンチの死をお知らせします」とし、「彼がいなくなり、世界に大きな穴が空いた」とコメントした。米ニューヨークタイムズ(NYT)によると、具体的な死因は明らかにされなかったが、ヘビースモーカーだったリンチさんは昨年、肺気腫と診断され、家の中で歩くのも困難だったという。

1946年、モンタナ州で生まれた故人は、フィラデルフィアにあるペンシルベニア美術アカデミーで絵画を学んだ。1970年、ロサンゼルスの米映画研究所傘下の映画学校に入り、本格的な映画の道を歩んだ。生前のインタビューで「モンタナの深い森とフィラデルフィアの憂鬱な雰囲気が私の映画の滋養分」と回顧した。

故人の作品は初期作から「華麗ながらも不安な(florid and unnerving)」雰囲気に満ちていた。1977年のデビュー作「イレイザーヘッド」は、夢と現実の境界を行き来する強烈な演出で、今もカルト映画の古典として挙げられる。以後「エレファント·マン」、「ブルーベルベット」等もやや荒々しい映像と心に響く音楽などがシンクロし、数多くのファンを熱狂させた。リンチさんは「映画は善と闇の力を同時に持たなければならない」と話した。

大衆的に最も人気のあった作品はテレビシリーズ「ツイン・ピークス」(1990~1991年)。架空の田舎町でフェスティバルクイーンに選ばれた女性が殺害される事件を描いたミステリースリラーで、1993年に韓国でも放映され人気を博した。

故人は1990年、カンヌ国際映画祭で「ワイルド・アット・ハート」で最優秀賞のパルムドールを受賞し、世界的な巨匠の仲間入りを果たした。新人俳優だったニコラス·ケースは、この作品に出演してスターになった。2001年カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した「マルホランドドライブ」は同年、NYTの今年の映画に選ばれた。米アカデミー賞に4度ノミネートされるものの、受賞を逃してきたが、2019年にアカデミー名誉賞を受賞した。

故人はスティーブン·スピルバーグやジョージ·ルーカスなど主流監督と親しく、ホワイトハウスで共和党のロナルド·レーガン元大統領の招待で一緒に映画を見たこともある。最後の長編映画は「インランド·エンパイア」(2006年)で、2017年に「ツイン・ピークス」の続編「ツイン・ピークス:ザ・リターン」を演出した。「デヴィッド・リンチ財団」を設立し、長年にわたり超越瞑想法を説いたりもした。


イ・ジユン記者 leemail@donga.com