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米国の家庭に宇宙ゴミが、NASAに損害賠償訴訟

米国の家庭に宇宙ゴミが、NASAに損害賠償訴訟

Posted June. 25, 2024 08:37,   

Updated June. 25, 2024 08:37

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米国のとある家庭が、宇宙から落ちた残骸で被害を受けたと主張して、米航空宇宙局(NASA)を相手に訴訟を起こし、「宇宙ゴミ(space debris)」が注目を集めている。最近、世界的に宇宙開発競争が激しいうえ、民間主導事業まで活発になり、これによって発生する宇宙ゴミをめぐる対策が急がれるという指摘が出ている。

米フロリダ州ネイプルズに住むアレハンドロ・オテロ氏の家族は、「今年3月、空から落ちた宇宙ゴミで住宅が壊れた」とし、NASAを相手取って8万ドル(約1億1000万ウォン)の損害賠償訴訟を起こした。この宇宙ゴミは、2021年、NASAが国際宇宙ステーション(ISS)でバッテリーを交換して捨てられた2.6トンのバッテリー部品の一部といわれている。NASAは、この部品は大気圏に進入する際に燃えてしまうと予想したが、一部が地上に落ちて危険を招いたのだ。

米ワシントンポスト(WP)によると、ISSや人工衛星、宇宙船などから出る宇宙ゴミは、1957年に人類が最初の人工衛星を発射して以来、持続的に生成されてきた。専門家たちは特に最近、民間企業が宇宙開発に参加し、増加傾向が著しいと見ている。スペースXは、2020年からこれまでに5000個以上の衛星を打ち上げ、今後5年間で約4万個を追加で打ち上げる予定だ。

欧州宇宙局(ESA)は、昨年6月基準で地球周辺を回っている宇宙ゴミはなんと1億3100万個を超えると見ている。特に、大きさが10センチ以上のものも約3万6500個と推定される。

問題は、このような宇宙ゴミが地上に落ちることだ。弾丸より10倍も速い時速3600キロで地球を回る宇宙ゴミが、燃焼せずに落ちると、深刻な被害を招く恐れがある。米連邦航空庁(FAA)は昨年、米議会に提出した報告書で「2035年までに大気圏に進入した残骸により、2年に1回の割合で人が命を失ったり怪我をしたりする恐れがある」と警告した。

このため、今後は宇宙ゴミで民間が被る被害を補償するルールを用意しなければならないという意見も出ている。オテロ氏の弁護士であるミカ・グエン・ワディは声明で、「最近、宇宙交通量の増加で宇宙ゴミは深刻な問題になっている」とし、「今回の訴訟は、各政府が宇宙ゴミに対してどのように対応するかをめぐる法的先例になるだろう」と強調した。


キム・ボラ記者 purple@donga.com