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「反独占違反訴訟」のアップル、1日で時価総額150兆ウォン失う

「反独占違反訴訟」のアップル、1日で時価総額150兆ウォン失う

Posted March. 23, 2024 08:46,   

Updated March. 23, 2024 08:46

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「アイフォーンのユーザーとアプリの開発者に対し、アップルの体制のみ使うようにしなければならない」

2010年、アップルの役員は、当時最高経営者(CEO)であるスティーブ・ジョブズ氏に対し、アマゾンの電子ブック広告に関する電子メールを送った。広告の主人公は、アップルのアイフォーンとグーグルのアンドロイドフォンを行き来しながらキンドルアプリで本を読んだ。ジョブズCEOはこれを容認できないとし、「ユーザーと開発者を、アップルのプラットフォームに閉じ込めるように」と指示した。

21日(現地時間)、アップルを相手取って反独占違反訴訟を起こした米法務部は、88ページにのぼる訴状でこのエピソードを取り上げ、「ライバル会社を防ぐためのアップルの(典型的)やり方だ」と指摘した。メリック・ガーランド法務長官は、「アップルは、製品とサービスの優秀さのためではなく、反独占法に違反して独占的地位を維持した」とし、高い価格やより少ない選択権、より悪いユーザー経験を提示したアップルから消費者を保護すると叫んだ。米紙ニューヨークタイムズ(NYT)は、司法省が訴訟で勝った場合、アップルの一部事業部の解散まで可能になると見通した。

●「アイフォーンで三星ペイやギャラクシーウォッチはなぜだめなのか」

米司法省はこの日、アップルがアイフォーンおよびiPadのような自社のハードウェアやiOSという独自の運営体制(OS)などを結合し、ユーザーをアップルの生態系に閉じ込めるすべての種類の行為を「反独占」と見た。最近、デジタル市場法(DMA)違反を理由に、アップルを主要巨大IT企業の中で一番先に調査する意思を明らかにした欧州連合(EU)が、主にアップルのアプリストアの独占および手数料賦課を問題視したのと違って、アップルの反独占行為は多様な分野で広範囲にわたって行われていると批判した。

アップルは現在、米スマートフォン市場の65%を占めている。グーグルのアンドロイドやマイクロソフト(MS)のウィンドウズなど、ライバルOSへの互換を事実上阻止したため、アップル機器を一度使えばアップルの生態系の中に閉じ込められ、他社の製品も購入しにくくなる。司法省はこれを「競争妨害戦略」と見ている。

具体的に、アップルの基本文字アプリ「アイメッセージ」が、アンドロイドユーザーのメッセージ伝送および動画ダウンロードの速度を落とし、アンドロイドユーザーは緑色、アイフォーンユーザーは青色で区別するようにしたことを問題視した。

また、アップルは、「ウィ-チャット」のようにメッセージやソーシャルメディアなど色々な機能が統合され、一つのプラットフォーム機能をする「スーパーアプリ」の出現を防ぎ、MSの「エックスボックス」のようなクラウド基盤ゲームのアイフォーン使用の障壁を高めたことも指摘した。三星のギャラクシーウォッチなど、他社のスマートウォッチとの互換性がないことも取り上げた。

2022年、あるイベントで参加者がアップルのティム・クックCEOに対し、「母がアンドロイドフォンを使っているが、私のアイフォーンで母親に動画を送るのが難しい」と言うと、クックCEOが、「母親にアイフォーンを買ってあげなさい」と言ったこともまた訴状に摘示した。

●LGの米スマホ市場撤退もアップルのせい

司法省は、アップルのこのような行動で多くの会社が米スマートフォン市場に参入しようとしたが失敗したとし、韓国のLG電子や台湾のHTC、MSの事例を挙げた。このため、米スマートフォン市場でアップルの意味あるライバルは三星とグーグルのみ残ったという。

特に、米アイフォーンユーザーの3分の1が1996年以降の生まれであり、若い消費者にとって三星スマートフォンの割合は約10%に過ぎないということも問題視した。これを考慮すると、アップルの独占的地位は今後さらに強固になると懸念した。

今回の訴訟を主導した「巨大IT企業の死神」である司法省のジョナサン・カンター反独占局長(写真)は、反独占規制は米経済発展の原動力であり、アップルの成長もまた反独占規制による面があるという点を強調した。一時、米最大手のエネルギー会社だった「スタンダードオイル」や大手通信会社「ベルシステムズ」のいずれも規制で解散された。1990年代、当局がMSの独占にブレーキをかけたおかげで、当時破産寸前だったアップル・アイポッドのアイチューンズがウィンドウズに敷かれ、アップルも成長の機会を得たという。


金玹秀 kimhs@donga.com