
バイデン米大統領、岸田文雄首相、フィリピンのマルコス大統領が4月10日、岸田氏の米国国賓訪問に合わせてワシントンで首脳会談を行うことになったと、朝日新聞が13日付けで報じた。2022年に就任したマルコス氏は、親中のドゥテルテ前大統領とは違って、親米路線を強調している。また、フィリピンは中国と南シナ海領有権問題でも激しく対立している。中国を牽制しようとする米国と日本が、フィリピンに力を与える動きとみられる。
米国と中国は、台湾の次期副総統、蕭美琴氏の訪米をめぐっても鋭く対立している。在米中国大使館の劉鵬宇報道官は、蕭氏を「頑なな台湾独立分離主義者」と称し、「いかなる形の米台間の政府間交流にも反対する」との声明を発表した。
●米日比の軍事協力強化
同紙によると、日本は来月の3ヵ国首脳会談を機にフィリピンの「準同盟国」級への格上げを図っている。上川陽子外相も首脳会談に先立ち、20日にフィリピンのマニラを訪れ、3ヵ国外相会談を行う予定だ。
このほか3ヵ国は最近、安全保障協力を大幅に強化している。岸田氏は昨年11月にフィリピンを訪問し、日本の自衛隊とフィリピン軍の共同訓練時の手続きを簡素化する「円滑化協定」を締結した。フィリピンに沿岸監視レーダーも貸与することを決めた。
マルコス氏は22年9月の初訪米時、「米国を含まないフィリピンの未来はない」と述べた。昨年2月には、台湾と隣接するフィリピン北部のルソン島カガヤン、南西部パラワン島など、自国領土に4ヵ所の米軍基地を設置することを許可した。
3ヵ月後、ホワイトハウスでバイデン氏と会談した際には、軍の現代化に対する米国の全面的な支援も得た。米国との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結も推進している。バイデン政権はまた、東アジアの核心的な同盟国である日本、南シナ海の同盟国であるフィリピンを巻き込んで中国を牽制するという考えを強く示唆している。
フィリピンと中国は近年、南シナ海で領有権問題で対峙している。特に、力で優位な中国が軍艦を動員してフィリピンの民間船舶に脅威を与えることに対しフィリピン国民は憤っている。ドゥテルテ政権時代に中国が約束した経済支援を履行しないことも、反中感情を強めた。
中国は、南シナ海にU字型で「9つの線(九段線)」を引き、この中の90%の領域が自国の領海だと主張している。国際常設仲裁裁判所(PCA)が16年、「中国の領有権主張は国際法上の根拠がない」と判決を下したが、気にも止めず周辺国を脅かしている。
●米中、台湾の次期副総統の訪米でも対立
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは12日、具体的な日程は言及せず、蕭氏が今週、個人の資格で米ワシントン、ニューヨークなどを訪問し、バイデン政権関係者と会う可能性があると伝えた。一部では、蕭氏がすでに米国に到着したと見ている。
蕭氏は、神戸で台湾人の父親と米国人の母親の間に生まれ、当選する前は、事実上の「在米台湾大使」であるワシントン駐在の台湾代表部代表を務めた。21年1月のバイデン氏の就任式にも出席した「米国通」だ。次期総統の頼清徳氏も、副総統に当選した際、個人の資格で訪米したことがある。
これに対し、中国は強く反発している。劉氏は、蕭氏と米国に対し、「米国は、蕭氏と米政府官僚の接触を手配してはならない」と警告した。中国の習近平国家主席も4~11日の「両会」(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)で「両岸(中国と台湾)」関係を取り上げ、「台湾統一」を改めて強調した。
東京=イ・サンフン特派員 キム・チョルジュン記者 sanghun@donga.com