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「厳しい罪の償いほど、人を変えることが重要」 韓国初の民営刑務所のキム・ヨンシク所長

「厳しい罪の償いほど、人を変えることが重要」 韓国初の民営刑務所のキム・ヨンシク所長

Posted March. 06, 2024 08:45,   

Updated March. 06, 2024 08:45

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「死刑囚でなければ、いつかは出所します。それなら、少しでも良い人に変化させて送り出すのが、韓国社会のために良いことではないでしょうか」

4日、京畿道驪州市(キョンギド・ヨジュシ)のソマン刑務所で会ったキム・ヨンシク所長(61)は、「罪の償いは当然払わなければならないが、韓国社会は教化の必要性に関する認識がやや足りないようだ」としたうえで、このように述べた。2010年にオープンしたソマン刑務所は、プロテスタント系が設立したアガペ財団が、国から委託を受けて運営する韓国国内初の民営刑務所。矯正幹部出身のキム所長は、名誉退職後、牧師の按手を受けた後、所長公募に応募し、昨年1月に就任した。

ーー受刑囚たちが食堂で一緒にご飯を食べていましたね。

「国営刑務所は、そのほとんどがそれぞれ閉じ込められている部屋で食べますが、私たちは共同食堂で400人余りの服役者が4交代で一緒に食事をします。食事が終わったら、自分の部屋に戻りますね。服役者同士で喧嘩が起きたらどうするのかという懸念もありますが、私が赴任した1年余りの間、そんなことはありませんでした。一緒に歩き、ご飯を食べながら話を交わすことは、人間の基本的な欲求であり、身体的にも健康な活動です。私たちは、このような活動が教化に大きく役立つと見ています」

ーー部からは、もっと厳しい罪の償いをさせるべきだという見方もありますが。

「私もその気持ちは分かります。罪の代価は当然払わなければなりません。ところが、犯罪を犯した人の中には幼い時から悪い環境にいるので、悪いことばかりを見て学んでそうなったことも多くあります。死刑囚でなければいつかは出所するのですが、刑務所ですら良い文化、温かい愛を受けられずに出て行くとどうなりますか。処罰も大事ですが、私たちが教化にもっと気を使わなければならない理由です。きちんとした教化においては、服役者の人権と処遇改善などは当然必要なことです」

ーーソマン刑務所の志願率が3、4倍を超えるとか。

「普通、毎月約20人程度を受け入れますが、全国の刑務所から志願の申し込みが来ます。志願資格は7年以下の刑期、前科2犯以下などですが、暴力団や麻薬などの重犯罪は除きます。志願書類を見た後に面接を受けるのですが、『変化の意志がどれほど強いか』を最も重視します。どうしても待遇も良く、国営刑務所よりはもっと適合型で教化プログラムとメンタリングが行われるので、志願者が多いです」

ーー刑務所は人を変化させる最後の関門だとおっしゃいましたね。

「良くない環境にいるから犯罪に陥ったのですが、刑務所がその良くない環境よりもっと悪かったら、出所後はどうなるのでしょうか。その被害は、そのまま一般人が受けるでしょう。服役者の中には、幼い頃から成長過程で傷ついた人が多いです。彼自身が許されることを経験できなかったので、他人を許すことができず、そうするうちに怒りが積もって犯罪につながります。ところが、ここで良い教育を受け、ボランティアたちと良い人間関係を持つと、かなり変わってくるんですよ。十分な機会が与えられれば、変わることができるので、あきらめてはいけません」


李鎭求 sys1201@donga.com