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KAISTの「24歳博士」の試み、成功を望む理由

KAISTの「24歳博士」の試み、成功を望む理由

Posted December. 26, 2023 08:19,   

Updated December. 26, 2023 08:19

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韓国国内の有名工科大学のA教授は、いつもこんな話をする。

「大学院生を受け入れるのが大変だ」。

まず、本校卒業生の大学院志願者が少なすぎるという。海外留学、大企業就職、ベンチャー創業など他の選択肢に比べて、韓国内の大学院は魅力に劣るからだ。本校卒業の学生をめぐって教授間の争奪戦もよく起こる。他の学校からも優秀な人材が来てくれればいいが、それさえも昔と同じではない。苦労して選抜した後は、学費に生活費まで与えてつかまえてこそ課程を終える。A教授は、「大学院生飢饉は年々深刻化している」とため息をついた。

最近、中高生の子を持つ親たちによると、理工系偏重現象がますます深刻化する傾向にあるという。理工系の人材プールがそれだけ豊富になったということだ。サムスン電子、SKハイニックス、現代(ヒョンデ)自動車、LG電子などの伝統的な大企業はもとより、ネイバー、カカオ、ウアハンヒョンジェのような新たな強者も理工系専攻者を集中選抜しているので、それも頷ける。

科学界から見ると、悩みの種は最上位級の人材だ。韓国を代表する科学者、工学者として成長すべき人々まで皆医学部に進学しているからだ。全国40の医学部(定員3058人)が毎年約3千人を先に選抜し、その後ソウル大学やKAISTなどの非医学部が選抜するという話があるほどだ。さらに、大学進学後、医学部に再挑戦する「半修生」も少なくない。医師という職業が科学者をいわゆる「枯死」させているのだ。

韓国研究財団の10月の報告書によると、韓国の「被引用上位1%論文」は、2021年に14位だった。11年の13位から1ランク後退した。中国は20年に米国を抜いて1位に浮上し、インドも11年17位から21年9位と8ランクも上昇した。様々な要因が複合的に作用するが、A教授の主張通りなら、韓国の順位は徐々に下がるのは目に見えている。

KAISTが来年施行する「ファストトラック博士」制度が特に注目される理由がここにある。学部を3年で終え、3年生の時に大学院(修士・博士統合課程)の授業まで受けさせ、博士号をできるだけ早く取得できるというのが核心だ。科学高校2年を終えてKAISTに早期進学した学生なら、24歳で博士になることができる。

医者は20、30年前にも多くの小学生、中学生が夢見た職業だ。しかし、科学者になりたかった子どもたちも結構いたように記憶している。しかし、今の韓国の子どもたちにとっては、医師という職業の魅力が科学者を圧倒するようになった。進学率はそこで決まる。

「24歳博士」を育てるというのは、簡単に言えばスター科学者を育成するということだ。スターは関心を呼ぶ。2年であれ3年であれ「人より早く」という誘惑は、科学神童の勝負根性を意外に強く刺激する。このような制度の一つが神童たちを「誘引」する火種になり得るということだ。

昨年、米プリンストン大学のホ・ジュンイ教授が「フィールズ賞」を受賞したことは、韓国科学界にとって大きな幸運だった。ゴルフのパク・セリ、野球の朴賛浩(パク・チャンホ)のように「ホ・ジュンイ・キッズ」も期待できる。より多くの「ホ・ジュンイ」を育てるためのこうした試みが成功してこそ、韓国の科学界にも未来がある。