北朝鮮が、2018年の南北軍事合意によって撤去した非武装地帯(DMZ)内の監視所11ヵ所を復元し、兵力や重火器を投入するなど、板門店共同警備区域(JSA)の再武装などに全面的に着手した。23日、北朝鮮国防省名義で南北軍事合意の全面破棄を宣言したのに続き、軍事措置に乗り出したのだ。韓国軍も監視所に重火器の搬入を含む対応措置を取る一方、軍事境界線(MDL)付近の対北朝鮮警戒態勢を強化するなど、前方地域の緊張が高まっている。
韓国軍は27日、北朝鮮軍が24日から南北軍事合意によって撤去した非武装地帯内の監視所11ヵ所(破壊10ヵ所、保存1ヵ所)に兵力と重火器を再び投入していると明らかにした。また、北朝鮮軍が破壊された監視所跡に臨時監視所を設置し、監視所付近の警戒陣地に無反動銃を配備する様子や、夜間警戒勤務をする北朝鮮軍兵士の姿が写った4枚の写真を公開した。
監視カメラとサーモグラフィで撮影したこれらの写真は、南北軍事合意によって18年11月に撤去した北朝鮮軍監視所のうち中東部前線にある監視所だと、軍は伝えた。軍関係者は、「ここを含め、北朝鮮の監視所11ヵ所すべてで復元作業が進行している」と明らかにした。
このため、韓国軍も近く北朝鮮軍が復元している監視所の向かいにある韓国軍監視所に重機関銃K3、K6などを搬入し、組み立て式の監視所と鉄条網を設置する予定だという。金明秀(キム・ミョンス)合同参謀本部議長(海軍大将)は同日、記者団に対して、「韓国も対応措置の手順で進める」とし、早急に監視所復元に取り組む方針を明らかにした。
また、東亜(トンア)日報の取材の結果、先週から板門店(パンムンジョム)JSA内の北朝鮮側警備要員が拳銃を所持して勤務していることが確認された。北朝鮮は、南北軍事合意の全面破棄による「JSA非武装化」も反故にしたのだ。27日午後現在、JSAの韓国側警備要員は対抗武装はしていないという。また最近、西海(ソへ・黄海)地域の北朝鮮軍の海岸砲の砲門開放の回数も普段の1桁から2桁に約5倍に増えたと軍は伝えた。監視所の復元に続き、海上での韓国に対する脅威も本格化したものとみられる。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は27日、帰国後、申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官と金合同参謀本部議長から北朝鮮軍の動向について報告を受け、北朝鮮の動きを綿密に監視し、国民が安心できるよう確固たる軍事態勢を維持するよう指示したと、李度運(イ・ドウン)報道官が伝えた。
尹相虎 ysh1005@donga.com