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日本、観音菩薩像を韓国に寄贈すれば、長年の悪縁が良縁になるだろう

日本、観音菩薩像を韓国に寄贈すれば、長年の悪縁が良縁になるだろう

Posted November. 11, 2023 08:51,   

Updated November. 11, 2023 08:51

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もっと早く日本に返すべきだった。略奪された文化財の返還を要求しながら、盗品を取得することはできない。2012年10月、韓国人窃盗団が長崎県対馬市の観音寺から盗んで国内に密輸した高麗(コリョ)時代の金銅観世音菩薩坐像の話だ。

大法院(最高裁)は先月26日、この仏像の所有権は日本の寺にあると最終判決を下した。13年1月に窃盗団が捕まってから10年9ヵ月が経った。

これまで、裁判所の判決は交錯した。17年に1審は、政府が仏像を忠清南道瑞山(チュンチョンナムド・ソサン)の浮石(ブソク)寺に引き渡すよう言い渡した。元来、仏像は浮石寺の所有物であり、昔、盗難や略奪によって日本に渡ったと見ることができるということだ。観音寺は、仏像の取得経緯を立証する証拠を出せなかった。仏像を倭寇が略奪した可能性が高いのも事実だ。しかし、これはあくまで推定にすぎない。

今年2月に出された2審の判決は覆された。倭寇の略奪情況は認められるが、仏像が制作・奉安された14世紀初頭の高麗時代の寺院「瑞州(ソジュ)浮石寺」と現在の浮石寺が同じ寺と見る根拠が不十分ということだった。また、仏像の所在地だった日本の民法により、観音寺が法人格を取得した1953年から20年以上仏像を占有していたため、所有権は観音寺にあるという判決だった。法論理上、日本の法に従ったが、韓国民法に従ったとしても結論は同じだった。

大法院は2審の一部判断は誤っていると見た。近くに浮石寺という名前の他の寺があったわけでもなく、現在の浮石寺は、高麗時代の浮石寺をそのまま継承した権利の主体で正しいということだ。しかし、不法搬出の蓋然性だけでは、観音寺の所有権は否定されないと判決を下した。

長い訴訟を経たが、単純なことだ。記者は、略奪されたり、無断で国外に持ち出されたりした文化財が故郷の地に戻ることを誰よりも願っている。しかし、強制的に奪われたものだと思われるからといって、盗み出すことを正当化することはできない。

仏像が元の場所に戻ることを願う由緒ある浮石寺とその信徒の立場も理解できる。しかし、仏像を返さず浮石寺に奉安したとしても、「(略奪されたが)盗んできた仏像」というレッテルを剥がすことはできないだろう。

現在、国立文化財研究院に保管されている仏像は、今後政府が返還手続きなどを協議するとみられる。

日本の観音寺側に「仏像を韓国に寄贈してほしい」と提案したい。何百年も信仰の対象として祀ってきた仏像を返してほしいという言葉がどのように聞こえるか分からないわけではない。訴訟が長引くにつれ、感情のわだかまりも蓄積したことだろう。

しかし、古い悪縁を今日の良縁に変えれば、釈迦も喜ぶのではないだろうか。仏像が日本に渡ることになったのは、悪縁だったようだ。韓国人窃盗団による窃盗はさらなる悪縁を作った。仏像論争は対馬の朝鮮通信使の行事や日韓共同文化財の展示などに支障を来たした。観音寺が日韓友好のきっかけを作れば、韓国人の心も大きく動くだろう。

日本政府も動いてほしい。1965年の韓日文化財協定当時、日本政府は、日本の韓国文化財を韓国に寄贈することは両国の文化協力に貢献することであり、これを奨励すると明らかにした。不幸な歴史も今日の善意で変えることができると信じる。