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手描きで7年ぶりに完成した宮崎駿のアニメ、公開日に25万人の観客動員

手描きで7年ぶりに完成した宮崎駿のアニメ、公開日に25万人の観客動員

Posted October. 27, 2023 08:54,   

Updated October. 27, 2023 08:54

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宮崎駿監督(82)が引退を覆して、10年ぶりに世に送りだ出したアニメ「君たちはどう生きるか」が、25日公開された。PR活動を一切しなかったが、公開から一日で25万5000人の観客を動員し、予約率は60%に達するほど関心が熱い。映画は、宮崎監督が自分のやり方で書いた一本の美しい自叙伝であり、この世界で刹那を共有している「君たち」に渡す質問だ。

映画は、火傷するような真っ赤な炎で始まる。日本の東京で空襲警報が鳴り、炎は11歳の少年眞人(声:山時聡真)の母親を飲み込む。火災後、軍需工場を経営する父(木村拓哉)は、眞人とともに田舎に住み込み、義妹の夏子(木村佳乃)と再婚する。母親を失った喪失感と父親への寂しさ、叔母が継母になったことに対する複雑な感情で、眞人は密かに心の中の悪意を築いていく。ある日、大きなアオサギ一匹(國村隼)が飛んできて、「死んだ母が生きているから、私について来い」と言う。眞人は母親を探し、時空の異なる世界に迷い込む。

映画は、展開が親切ではなく、一度では理解しにくい隠喩でいっぱいだ。宮崎監督の自伝的要素が多く含まれている。タイトル「君たちはどう生きるか」は、同名の小説から取ったが、宮崎監督が幼い頃、母親からプレゼントされた本だという。宮崎監督も、眞人のように1941年に生まれ、戦争空襲を避けて幼年時代を田舎で過ごした。映画に登場する大叔父は、5年前に亡くなった先輩アニメーション監督の高畑勲からモチーフを得た。「アオサギの男」は、宮崎監督の同僚で友人の鈴木敏夫プロデューサーを描写した。コンピューターグラフィック(CG)を使わず、すべて手描きで制作するのに7年間がかかった。揺れる炎とひらめく紙の質感、くねくねと溢れ出る魚の内臓など躍動感が感嘆を誘う。

映画は、私たちがどのように生きるべきかを教えてくれない。ただ、危険で汚いところでも、友達がいる自分の世界に戻るという眞人に対し、大叔父は、「君だけの塔を築け」と助言する。一生を捧げてジブリという塔を築いた老監督が、82年間を生きて得た答えのようだ。


崔智善 aurinko@donga.com