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IAEA「汚染水の海洋放出に問題ない」、不安を煽る「政治の失敗」あってはならない

IAEA「汚染水の海洋放出に問題ない」、不安を煽る「政治の失敗」あってはならない

Posted July. 05, 2023 08:27,   

Updated July. 05, 2023 08:27

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国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長が4日、岸田文雄首相に会い、福島原発汚染水の海洋放出計画の安全性を評価した最終報告書を渡した。報告書は、汚染水の海洋放出が基準に従って適切に進められれば、環境に悪影響を与えることはないとの内容が盛り込まれているという。これまで「夏ごろ」と明らかにしてきた日本政府は、近く具体的な海洋放出の時期を決定する方針だ。グロッシー氏は明後日に訪韓し、韓国政府にも報告書の内容を説明する予定だ。

IAEAが海洋放出の安全性を保証したため、日本の汚染水海洋放出は順調に進む見通しだが、火は韓国の足元についたようだ。直ちに野党は、IAEA検証の信憑性を提起し、署名運動や野外集会、遠征デモなど、全面的な攻勢に出る方針だ。そんな野党に対し、与党は「怪談」を流布して恐怖を煽っていると非難を続けた。このままでは、米国産牛肉の輸入をめぐって狂牛病「怪談」で国が二分した15年前の事態が再現されるのではないか懸念される。

原子力問題に関する国際的な権威が認められているIAEAの安全性評価を受け入れず、信じられないという野党の態度は無責任だ。科学的意見を信頼できないなら、根拠を挙げて論じるべきであり、不信のレッテルを貼るのは責任ある公党の姿勢ではない。だからといって、野党の主張を「怪談」と決めつけ、水産市場の水槽の水まで飲む与党の対応姿勢も情けない。国民の心配を和らげるどころか、「怪談」を2次拡散させているだけではないか顧みなければならない。

政府の対応も信頼できないのが事実だ。これまで汚染水問題をめぐって毎日ブリーフィングまでしてきた政府だが、韓日間の急速な緊密化の中で事実上、日本側の論理を代弁しているのではないかという厳しい視線は避けられなかった。政府はとりあえずIAEAの報告書と韓国側の福島視察団の結果を検討し、対応策を出すとしたが、その対策は概ね汚染水の海洋放出を前提とした海洋調査の拡大や水産物検査の強化といった事後的な対策に焦点が当てられるものとみられる。

科学は恐怖を克服する力だ。しかし、歴史上前例のない原発汚染水の海洋放出であるため、いくら信憑性のある科学的評価であっても、その不確実性に起因する不安を完全に解消することは難しい。韓国国民の大半が恐怖までではないが懸念する理由だろう。そのような混乱した心を掻き乱す与野党の政争は、恐怖を増長させる火種にすぎない。過去に狂牛病の「怪談」が流行したのも、その一端には「政治の失敗」があったことを念頭に置かなければならない。