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左胸の下にきた痛み

Posted June. 10, 2023 08:48,   

Updated June. 10, 2023 08:48

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眠りの神ヒュプノスには3人の息子がいるが、彼らはすべて夢の神になった。1人目は人に関する夢を司り、2人目は動物に関する夢を司り、3人目の子は無生物に関する夢を司る。しかし、いくら考えても夢の神がたった3人であるはずがない。人や動物が登場しない夢もある。私たちには夜の夢だけではなく、昼間の夢もある。なりたいある境地、作りたいある世界、実現したいある価値を私たちは「夢」と呼ぶ。神々が作る夢は眠っているときだけ訪れるが、私たちが作る夢は人を眠らせない。それを大切に抱きしめなければならない。

夢を見ない人がどこにいるのかと言うかもしれないが、夢を叶える人もどこにいるのか分からない。この詩には、大切な夢が枯れてしまい、それを捨てなければならなかったある人が登場する。詩は失われた夢について、今は名前も思い出せないように語っている。表面上の意味はそうで、言い方も淡々としたものだが、詩の裏側は全く違って読める。実際、この詩の夢はあまりにも切望した道であり、忘れられない願いであり、苦しく残る未練である。夢が取り除かれた場所は長い間、痛かったことだろう。

この世の中の多くの人が夢を打ち砕かれ、捨て、消し去りながら生きている。だからか、この詩の情緒は馴染みのないものではない。夢は消え、空っぽの心だけが残った詩の情景は、決して他人事ではない。

文学評論家