私たちに馴染みのあるパンソリ「水宮歌」には、亀の誘惑にはまって龍王の薬材になりそうになったウサギが登場する。ところが、このウサギが水宮だけでなく陸の上でも様々な苦難を経験するということを知る人はそれほど多くない。このようなウサギの逆境を水宮歌は「三災八難(度重なる災難)」と描写する。
この三災八難に焦点を合わせて水宮歌を再解釈した国立唱劇団唱劇「亀兎」(写真)が帰ってくる。昨年の初演に続き31日から来月4日まで、ソウル中区の国立劇場ヘオルム劇場で公演される。亀兎は2015年、東亜(トンア)演劇賞大賞を受けた演出家のコ・ソンウン氏が脚本と演出を務めた。コ氏は、「三災八難は、新型コロナウイルス感染症や洪水、住宅価格の暴騰など苦難が続く私たちの暮らしに似ている。テーマ意識がはっきりとした唱劇を作りたかった」と話した。
作唱は、コ氏と共に昌劇「ピョンガンセ、オンニョ」を作った音楽監督のハン・スンソク氏と国立唱劇団前芸術監督の劉首正(ユ・スジョン)氏が共同で作業した。唱劇に盛り込まれた50曲以上の中で、水宮歌の原曲をそのまま活用したのは3曲だけ。音楽ユニット「イナルチ」が歌って有名になった「虎が下りてくる」の原型をそのまま披露する。ハン氏は、「パンソリは悲壮な音楽だが、亀兎の声はとても愉快で存分に笑えるだろう」と話した。
亀兎の主人公はウサギではない。ウサギの息子「兎子」だ。疲れる陸地生活から逃れて自分の足で水宮を探すが、「どの水も似たり寄ったり」という台詞のように人生は順調ではない。兎子を演じた唱劇俳優キム・ジュンス氏は、「初演の時はしっかりしていない世間知らずの兎子を演じたが、今回はもう少し成長して成熟した兎子をお見せしたい」と話した。
舞台は、単色の舞台の中央にLEDパネルを設置し、多様なパターングラフィックを実現する。兎子をはじめ陸の動物は、朴寿根(パク・スグン)画家(1914~65)の絵から取ってきたという無彩色系の韓服を、水中動物は色とりどりの生地を重ねた衣装を身に着け目を引く。2万~8万ウォン。
李知訓 easyhoon@donga.com