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「音楽を展示する」、白南準氏の夢が61年ぶりに現実に

「音楽を展示する」、白南準氏の夢が61年ぶりに現実に

Posted April. 25, 2022 08:38,   

Updated April. 25, 2022 08:38

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「耳で聴く音楽を展示する」

白南準(ペク・ナムジュン、1932~2006)氏が20代の頃に夢見た目標だ。1961年、白氏は「20の部屋のための交響曲」という名の楽譜を作った。五線紙に音階や音符を書き込む通常の楽譜とは異なる。四角形の線の上に「X線の撮影室で使用するような赤い電灯」、「神秘的な香」、「騒ぐ子どもの声」など音符の機能に取って代わる指示文だけがぎっしりと記されている。「聴くこと」に限られた音楽に対する通念を破った白氏の実験的な試みだった。

生前に演奏されることのなかったこの交響曲が、61年経った先月24日、国内で初めて試演された。京畿道龍仁市(キョンギド・ヨンインシ)の白南準アートセンターが今年、生誕90年を記念して特別展を準備した。展示「完璧な最後の1秒―交響曲第2番」は、サウンド、設置、映像など様々な分野のアーティストで構成された7つのチームが、白氏の楽譜を解釈して視角化した。

 

展示場は、個部屋のように区画を分けて楽譜別に指示文を履行する。第1番の楽譜には、「非常に弱く/水が流れる/古い柱時計が騒々しく鳴る/テープ録音機・・・」と記されている。アーティストのクォン・ヨンジュ氏は水が入ったドラム缶を作り、写真作家の宋善赫(ソン・ソンヒョク)氏は白氏が指示した声を採集してテープに盛り込むことで指示文を実現した。

 

白氏は生きている生命体にも言及した。第3番の楽譜「私たちの中に住んでいる鶏/照明100W/やわらかく神秘的な香」が代表的だ。これらは、人間以外の生命体と事物が出す音も音楽になることができるという白氏の考えを表している。

展示の特徴は、意図的に騒々しくなっていることだ。楽譜別に部屋の境界は存在するが、隣室の騒音を完全に遮断する壁はなく、多くの音が1ヵ所に入り乱れる。白南準アートセンターのハン・ヌリ学芸員は、「交響曲は観客に一方向の音楽を聴かせるが、白氏の交響曲は、楽章と見ることができる四角形が予測不可能に繰り広げられる。順次でなく同時進行する白氏の音楽が表現されている」と説明した。

多方向性で定義される白氏の音楽世界は観客の参加が重要だ。白氏は四角形の上にいかなる形も描かなかった。芸術家はテキストだけを見て、各自が他の形態を想像し、楽譜を完成させる。芸術家だけではない。各部屋には、ピアノや蓄音機など観客が参加できるポイントがある。白氏が1962年に書いた「音楽の展示について」という文で「私は聴衆が自由に行動して楽しむことを望む」と明らかにしたように、白氏の楽譜を見る主体、すなわち部屋を行き来する観客が誰かによって音楽は変化する。6月19日まで。無料。


龍仁=キム・テオン記者 beborn@donga.com