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所属も立場も違う女性たちが黙々と一緒に経験する失敗談

所属も立場も違う女性たちが黙々と一緒に経験する失敗談

Posted February. 12, 2022 08:48,   

Updated February. 12, 2022 08:48

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特級ホテルの地下には、音響や食べ物、照明を受け持って行事を手伝う後方部署「バックオフィス(Back Office)」がある。華やかな催し物が行われるホテルのラウンジからは見えない、汗の臭いがする職場だ。ここで3人の女性が出会う。育児休職で昇進競争から外されたホテル支配人のヘウォンと小規模なイベント企画会社で働くカンイ、大型イベントを発注する大手企業の代理のジヨン…。所属は異なるが、黙々と自分に与えられた仕事をやり遂げる彼女らは、エネルギー大企業「テヒョン」のイベントを開催するために力を合わせる。

イベントの契約金だけで10億ォン。これを獲得するため、ホテル業界と企画会社は激しい競争に突入する。ライバル会社の職員を秘密裏にスカウトする権謀術数が飛び交う戦場でも、3人の女性はフェアプレーを固守する。ライバルの致命的弱点を知っていながら、口にもらさない。目に見える成果に劣らぬほど、見えない過程も重要だということを、バックオフィスにいる人々は知っている。

甲と乙の関係を離れ、「私たち」となって契約を獲得した彼女たちは、誤って配送された品物をめぐり、相手のせいにする代わりに、一緒に解決策を模索する。しかし、皆が最善を尽くして見つけた解決策は水の泡となり、行事当日に懸念していた出来事が起こる。修羅場となった会場で、彼らはお互いのそばを離れず黙々と支援軍になってくれる。初めてあいさつを交わした日、「私を助けて」と握手を求めたジヨンの手を取り合いながら、ヘウォンが残した言葉のように。「私たちは、私より力が強いのだから」

3人の女性の挑戦は失敗するものの、その最後は寂しいわけではない。貴賓が全員離れた宴会場で、彼らは一人残されるわけではない。淡々と「私たちの失敗」を共に経験する。誰かのせいにもせず、言い訳もしないで。

2018年に東亜(トンア)日報の新春文芸に当選して登壇したチェ・ユアンの初の長編小説だ。38歳の若い作家は、この小説を書くまでは会社員として働いた。一つのプロジェクトを多くの仲間と一緒に築き上げた作家の経験が、この本の中に溶け込んでいる。最後の章に、「この小説は、自分の仕事を毎瞬間、少しずつこなしていく人々への心からの応援」という作家の言葉が盛り込まれている.


イ・ソヨン記者 always99@donga.com