Go to contents

釣り合わないカップル

Posted December. 16, 2021 08:30,   

Updated December. 16, 2021 08:30

한국어

聖書に登場する人類最初の夫婦はアダムとイブだ。神に服従しない自由を持っていた彼らは、結局罪を犯してエデンの園から追い出された。堕落と原罪の象徴となったアダムとイブは、長い間西洋美術の定番テーマだった。20世紀の画家パウル・クレーもこのカップルを描いた。ところが、彼が描いたカップルのイメージは、あまりにも滑稽でぎこちない。なぜこのように表現したのだろうか?

具象と抽象を自由に行き来したクレーは、どの美術流派にも属さない独自の画風を開拓した画家だ。彼の絵は、子供が描いたように単純でありながら、ウィットのある表現と多彩な色彩が特徴だ。スイス生まれだが、ドイツで学び名声を得たクレーは、42歳の時に革新的なバウハウス造形学校の教授になった。この絵はバウハウスの教授に赴任した年に描いた水彩画だ。聖書に出てくる人間創造の物語を自分ならではの視点で再解釈したものと思われる。絵を見ると、アダムの肋骨にイブが育っている。まだ大人になっていないイブは、三つ編みの子供の姿だ。一方、アダムは大きく角ばった顔に、口ひげとイヤリングを自慢する成人男性として描かれている。アダムは青い目を見開いて正面を見つめているのに対し、オッドアイのイブは、画面の外の遠い所を眺めている。画家は確かに夫婦を描写したのだろうが、父娘のようにも見え、雌雄一身の運命共同体のようにも見える。彼らの後ろには、赤いカーテンのついた舞台が見える。だから釣り合わないこのカップルは、劇場の舞台の上に立っているのだ。

夫婦は、同じ所を眺める人たちだ。人生の目的や価値観が同じであってこそ幸せになれる。一緒にいても、目指すところが違えば、その関係は長続きしない。絵の中のカップルは一体だが、調和もせず、眺めるところも違う。クレーは、こっけいな姿でくっついているアダムとイブを通じて、幸せを演じながら生きていく夫婦たちの隠された欲望と不安な心理を見せようとしたのではないだろうか。