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「五輪外交的ボイコット検討しない」と言う文大統領、急いで表明すべきことだったのか

「五輪外交的ボイコット検討しない」と言う文大統領、急いで表明すべきことだったのか

Posted December. 14, 2021 08:35,   

Updated December. 14, 2021 08:35

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オーストラリアを国賓訪問した文在寅(ムン・ジェイン)大統領が13日、オーストラリア首相との共同記者会見で、北京冬季五輪への外交的ボイコットを問われ、「韓国政府は検討していない」と明らかにした。「米国をはじめとするどこの国からも(ボイコット)参加を勧められたことはない」とも述べた。中国との関係については、「韓国は米国との堅固な同盟を土台に、中国とも調和のとれた関係を維持していくよう努めている」と述べた。

文氏の発言は、大統領府と外交部が先週から明らかにしている政府の立場を再確認したものだが、その重さは異なる。米国が中国の人権弾圧を取り上げ、外交的ボイコットを発表した後、大統領府は「検討していない」とし、外交部次官は「前(大会の)開催国としての役割を果たす」とまで明らかにした。ここに大統領まで重ねて発言したのだ。そのため、「(今のところ)検討していない」と言っていたのが、いつのまにか「ボイコットしない」という不変の方針に聞こえるようになった。

 

むろん、中国の「戦狼(せんろう)外交」に原子力潜水艦同盟で対抗するオーストラリアのように急いでボイコット参加を決めた国々と韓国の境遇が同じではない。しかし、ボイコットに呼応するようで、事実上ボイコットではない案を苦慮する日本よりは、伝統的に米国追従に拒否感を示してきたフランスのボイコット参加拒否側に近く見えているのが事実だ。韓国の態度は中国から「五輪ファミリーらしい風貌」という「称賛」まで受けた。

米中対立の中、韓国は「戦略的曖昧性」という名の下、どちらの側にも立たない綱渡り外交をしている。韓国の安全保障を依存する同盟国の米国と近隣国で最大の貿易国である中国の間で、国益を守るための避けられない選択かもしれない。しかし、綱渡りは容易ではない高難度の曲芸だ。一歩間違えて踏み誤って墜落すれば、致命傷を負う恐れがある。米中が理念対立まで突き進む状況では、韓国が乗る綱は危険に揺れるほかない。

米中の間で賢明な外交を行うには、明確な原則と規範の下、特に普遍価値と国家利益の間で事案別にバランスを取らなければならない。精巧なメッセージの発信が何よりも重要だ。今回、韓国はボイコット論議の根源である中国の人権弾圧に対していかなる懸念表明もしなかった。その結果、中国の肩を持っているようにみられた。米国の誤解を招くメッセージ管理の失敗と言わざるを得ない。同盟だからとあらゆる事を理解してくれると勘違いしてはならない。綱渡りも実力があってこそ可能だ。