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嘘つきの鼻

Posted October. 14, 2021 08:16,   

Updated October. 14, 2021 08:16

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ピノキオは1883年、イタリアの作家カルロ・コッローディが発表した童話の中の主人公。嘘をつけば鼻が長くなるこの木の人形のために、長い鼻は嘘の象徴になった。アルベルト・ジャコメッティは1940年代半ばから長い鼻の人物の彫刻を制作した。ものすごい嘘つきを表現したかったのだろうか。童話の中のピノキオよりはるかに長い鼻だった。

スイス生まれのジャコメッティが彫刻家を夢見てパリに来たのは20歳の時だった。古典彫刻を学んだ後、立体派スタイルを経て、1930年代にシュルレアリスムの作品に没頭した。第2次世界大戦は、彼の作品と意識に大きな変化をもたらした。想像力ではなく現実に基づいた人体彫刻に回帰した。戦後、ジャコメッティは人体を細長い孤独な人物像で表し、実存主義の彫刻家として名声を得た。長い鼻の頭像の彫刻もこの頃に制作された。 

デコボコした質感の青銅の頭像はロープに縛られ、四角形の鉄製の枠の中でぶら下がっている。目は曇り、耳は最初からなく、口は大きく開いている。見ることも聞くこともせず嘘だけ言ったのか、鼻が長くなって枠の外に伸びている。その姿は長い銃身の銃を連想させる。大きく開いた口は苦痛の悲鳴をあげているようであり、ロープにぶらさがった頭上は絞首台を思わせる。作品の中の人物は、自分を閉じ込めた枠から抜け出すためにずっと嘘をつかなければならない運命のように見える。

嫌悪と葛藤、破壊で綴られた戦争の時代を経験したジャコメッティに世の中はどう映ったのだろうか。偽りと偽善、不安でいっぱいだったことであろう。嘘をつくピノキオに無限の愛と許しを与えたゼペットじいさんは、童話の中に存在するにすぎず、現実は互いに騙し騙される戦場ではなかっただろうか。嘘は必ずまた別の嘘を生むもの。作家は、嘘は他人を殺す武器にもなり得るが、結局は自分を破滅させるというメッセージを伝えたかったのではないだろうか。

美術評論家