バイオリニストのキム・ジェヨンにとって、2021年下半期は「ブラームスシーズン」だ。15日、ソウル芸術の殿堂IBKチャンバーホールで、ブラームスのバイオリンソナタ3曲全曲をイリヤ・ラシュコフスキ(誠信女子大学教授)のピアノとともに演奏する。これに先立って、8月にロッテコンサートホールが主催した「クラシックレボリューション2021」では、彼がリーダーを務めるノブス・カルテットがブラームスの弦楽四重奏曲の全曲と他の室内楽作品を演奏した。今月8日には、チ・ジュンベが指揮する蔚山(ウルサン)市立交響楽団とブラームスバイオリン協奏曲を共演した。曇った10月の連休に彼に電話をかけた。
-音楽ファンにとって、とりわけブラームスは「秋に似合う作曲家」という認識が強いですが、それは正しいでしょうか?
「ブラームスは曇りや、風の吹く日が多いドイツ北部のハンブルクで育ちました。彼の作品には、内気で暗い感性を表現する部分が多いです。メロディーに深みがある上、和声も厚く、濃い色を出す方ですね。彼の祖国ドイツでは、『ブラームス=秋』という表現があまり出てこないのですが、音楽を愛する大衆にはブラームスを『秋の作曲家』と認識する理由は確かにあるのではないかと思います」
-バイオリンソナタ3曲のうち、最も秋に合う曲を選ぶとしたら?
「3番の暗い雰囲気と寂しさが最も秋に合うのではないでしょうか。他の2曲も、切実な旋律味が強い曲であるため、秋に鑑賞するのに適していると思います」
-このソナタ3曲を1日で演奏するのは、演奏者にとってどんな挑戦でしょうか。
「たとえばブラームスのバイオリン協奏曲はテクニック的に華やかな反面、ソナタには作曲家の内面的な話が多く盛り込まれています。ブラームスの内面と彼の和声的特徴をよく理解する必要があります」
-今回の公演では、番号順ではなく、2-1-3番の順にプログラムを組まれましたね。
「2番ソナタの『表情』がオープニングにふさわしいので、最初に入れました。聴衆に挨拶して『初めにさせて頂く』のにいい曲です。個人的には1番が一番好きで、重量感が格別なだけに中間に配置したかったんです」。3番は3曲の中で最も華やかで長いので、コンサートの最後を飾るのに最適です」
-「どんなブラームス」になることを期待すればいいですか。
「ブラームスは無条件に、重く厚みのある表現をすべきだとは思いません。このソナタは、彼の作品の中でも、旋律美が引き立っていて素朴なほうです。しかし、個人的な面が多く見られるだけに、作曲家の内面世界について多くの探求が必要です。個性を出すよりは、ブラームスの本質に近づく演奏をしようと努力しています」
4万~5万ウォン。
ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com