メッセージが溢れる時代だ。虚偽ニュースと真実のニュースを分けることは難しい。このような時であればあるほど、メッセージよりも重要なものがある。まさにこれを伝えるメッセンジャーだ。同書は、メッセージではなくメッセンジャーに注目しなければならないと強調する。500万部以上売れた「影響力の武器」シリーズを書いたスティーブ・マーティンと行動心理学者のジョセフ・マークスの共著だ。
人々は、自分が客観的な情報(メッセージ)をもとに理性的に判断していると信じる。しかし、心理学など様々な分野の研究結果はそうではない。例えば、ある情報を受け入れる時、人々はその分野の専門家より有名で地位の高い非専門家の話に引かれるケースが多い。すてきな芸能人が「この製品、とてもいい」と宣伝すれば、特に検証されていなくてもその商品を手に取るものだ。このように多くの判断がメッセンジャーによって左右されるので、メッセンジャーに対する判断が何より重要だということだ。
著者は、メッセンジャーのフレームを8つに分類した。ハードメッセンジャー(社会経済的地位、能力、支配力、魅力)とソフトメッセンジャー(温和さ、脆弱性、信頼性、カリスマ)だ。ハードメッセンジャーは、相対的優越感を基に組織や仲間の間で大きな影響力を及ぼす。ソフトメッセンジャーは連帯感を形成して人々を動かす。
著者は、日常の状況や多彩な実験事例を通じて、各フレームの影響を分かりやすく説明する。強力なメッセンジャーになりたい人やメッセンジャーに振り回されたくない人いずれにも役立つ。
金甲植 dunanworld@donga.com