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肥沃な三日月、人類文明の誕生の地

Posted September. 25, 2021 08:18,   

Updated September. 25, 2021 08:18

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「ファータイル・クレセント(Fertile Crescent)」は古代近東文明のゆりかごとなった「肥沃な三日月」地帯をいう。1916年、米考古学者ジェームス・ヘンリー・ブレステッドが初めて言及したこの単語は、ユーフラテス川とチグリス川が流れるメソポタミア文明一帯を主に指す。

人文地理学を専攻し、高麗(コリョ)大学教授、韓国都市地理学会長を務めた著者は、肥沃という修飾語が地域を狭く解釈する余地をもたらすと指摘する。ファータイル・クレセントは肥沃な土壌のメソポタミア一帯だけでなく、トルコ、アルメニア、ジョージアなど近隣の500万平方キロメートルに及ぶ広大な地域を包括すると見なければならないというのが著者の見解だ。

ファータイル・クレセントを類型別に分類したことも注目に値する。メソポタミア中心の河川農業文明、エジプトの河川型石造文明、小アジアと呼ばれるアナトリアを中心にした高原型融合文明、フェニキア中心の海洋型交易文明がそれだ。各文明圏では地域が持つ地理的特性を基に様々な国家と民族が興亡盛衰を繰り返した。著者は、「ファータイル・クレセントで文明間の相互作用による創意性、融合性、包容性、進取性を教訓にすることができる」と話す。多様な地図と整理されたキーワードが本の理解を助ける。


金甲植 dunanworld@donga.com