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米国の外交で道徳性はなぜ重要なのか

Posted August. 28, 2021 08:17,   

Updated August. 28, 2021 08:17

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最近、米国のアフガニスタンからの撤退を受け、米国に対する信頼性と道徳性論議が起こっている。介入しておきながら今になって手を引き、アフガン人をタリバンの暴圧に追いやるのかということだ。このようなムードは、発足して間のないバイデン政権の外交力に対する批判にまでつながっている。

しかし、実際のところ米国民の道徳的基準は状況によって変わるようだ。1950年代、韓国戦争の時、トルーマン大統領がマッカーサー将軍の核兵器使用要求を拒否したのが代表的だ。米ソ核戦争に飛火する危険が漂っていたが、当時の米国民の世論はトルーマン大統領に不利だった。多くの米軍兵士が共産軍に犠牲になっているが、大統領がとても弱腰だということだ。もし当時、核が使われたなら、共産軍だけでなく韓国人も被爆の被害を免れなかっただろう。これについて世界的国際政治学者のジョセフ・ナイは同書で、「トルーマンは自身の国内政治基盤が弱まることを受け入れた。ここで道徳性は大変重要な役割を果たした」と評価する。

無政府状態の冷厳な国際社会で道徳性外交を云々することはのんきに聞こえるかもしれない。しかし、いわゆるソフトパワー(文化、芸術、学問などでの魅力を通じた国家影響力)概念を創始した著者は、外交政策の道徳性は国益とも直結することを強調する。指導者の道徳性は、各局面で国益をどのように定義して追求するかを決める核心要因だからだ。

このため著者は、フランクリン・ルーズベルトからドナルド・トランプに至るまで、歴代大統領14人の外交政策の意図と手段、結果を道徳的観点で検討する。それによると、この3つの尺度で優等生は、ルーズベルト、トルーマン、アイゼンハワー、パパ・ブッシュ。韓国戦争でのトルーマンの例で見るように、彼らは異なる外部環境で道徳的価値を適切に追求した。一方、キッシンジャーなどが高く評価するニクソンに対しては辛い点数をつけた。著者は、「ニクソンが国際経済とインフレーション、人権で惨憺たる成績だった。何よりベトナム戦争で米軍2万1000人の命を奪った選択を下した」と酷評した。


金相雲 sukim@donga.com