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30分ごとに1年老いるビーチ…「時間の監獄」に閉じ込められた人々

30分ごとに1年老いるビーチ…「時間の監獄」に閉じ込められた人々

Posted August. 19, 2021 08:43,   

Updated August. 19, 2021 08:43

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秘められた宝石のようなビーチがある。人で込み合う夏シーズンの通常のビーチとは違って、人影が少ない。天恵の景観も加わり、これ以上の地上の楽園はない。登場人物にはそれぞれ心配があるようだが、ビーチに到着した瞬間だけは最高のバカンスを送ろうと胸をふくらませている。

しかし、この楽園は一瞬にして地獄になる。30分で1年のスピードで、時間が超高速で流れる。6歳の男の子トレントは、あっという間に成人になる。一面ビーチのどこにも脱出する所はない。18日に上映したスリラー映画『オールド』の話だ。

『オールド』は、独創的なストーリーと反転の大家であるM・ナイト・シャマラン監督の新作。時間が超高速で流れるという事実を知った人々は恐怖に包まれる。美しいと思っていた奇岩絶壁と海は、彼らを孤立させる「自然の監獄」と化す。脱出しようとする人は、大波に飲み込まれて死を迎える。

2011年に出版されたグラフィックノベル「サンドキャッスル」が原作のこの映画は、「観客の時間」も早く流れるほど夢中にさせる。誰が何の理由で彼らをビーチに閉じ込めたのだろうか。リゾート職員はなぜわざわざ彼らだけにこのビーチを紹介したのだろうか。数珠つなぎの謎を追いかけてみると、いつのまにかエンディングクレジットが流れる。作曲家のトレバー・グレツキスが作った映画音楽は、意図的な不協和音で観客の緊張感を高め、没入感を倍加させる。

早く流れる時間は恐怖だが、正反対に「時間が薬」という点も見せてくれる。老人になってしまった人は、若かった時の葛藤が実際は大したことではなかったということを悟る。老化で目がかすむので妻をよく見るようになり、耳が遠くなって夫の話により耳を傾けるようになる。スリラー物だが、人生と時間に対する考察も所々に含まれている。

映画の中のビーチは、ドミニカ共和国の「プラヤ・エル・バジェ」。恐怖のビーチだが、新型コロナウイルスのために国内に閉じ込められた観客に素敵なビーチに行ってきた気持ちを感じさせてくれる。ただし、映画の後半部、悪役の俳優が自分たちの行為を合理化するために吐き出す台詞がとてもストレートなのが残念な点だ。

映画には新型コロナウイルスが全世界を飲み込んでしまった現在の状況とかみ合う部分もある。映画は先月北米で上映され、ボックスオフィス1位に輝いた。12歳以上観覧可。


孫孝珠 hjson@donga.com