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「悪質コメントの世の中、いつ誰がターゲットになるか分からない」

「悪質コメントの世の中、いつ誰がターゲットになるか分からない」

Posted August. 13, 2021 08:26,   

Updated August. 13, 2021 08:26

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日本の有名アイドルがデマに巻き込まれている。ファンを殴ったという。アイドルは事件の顛末を問う記者団の質問に、肯定も否定もしない。失望したファンたちは背を向け始める。ソーシャルネットワークサービス(SNS)には批判が殺到する。このアイドルのファンである女子高生のアカリは、混乱に陥る。他の人々のように冷静に非難するか。それとも最後まで愛する人を支持するだろうか。人生唯一の意味であるアイドルを諦めても、アカリは生きていけるのだろうか。

5日、長編小説「推し、燃ゆ」(メディアチャンビ・写真)を韓国で出版した日本作家、宇佐見りん(22)は東亜(トンア)日報との書面インタビューで、「アイドル、俳優、ユーチューバー、芸能人、スポーツ選手など、いつ誰が議論の的になるか分からない世の中になった。日本では2、3カ月に1度の割合で有名人の発言や行動に批判的な意見が広まることがある」と述べた。最近になって、SNSへの悪質な書き込みが増えた現象に注目し、本を書いたという。「もともとファンだった人も、そうでない人も、誰かの発言や行動を批判し、繰り返し論争を繰り広げる。インターネットで誹謗(ひぼう)の書き込みが多くなっている」。

小説は「推しが燃えた」という文章から始まる。日本で「推し」とは、若い世代の間で最も好きなアイドルメンバーを意味する。「燃ゆ」とは激しく非難される対象になったという意味のインターネット用語。氏は「作品で若者たちがインターネットで使う単語を多く使った」とし、「ただ物語の本質は、誰かを愛することに身を投じる人間の物語だ。何か一つに人生を捧げたことがあれば、誰もが興味を感じるだろう」と述べた。

アカリは学業成績が良くなく、就職準備にも関心がない。一方、アイドルアルバムとグッズを買ってコンサートのチケットを手に入れることには誰よりも情熱的だ。ファン活動に使うお金を手に入れるため、体を壊すほどバイトをする。大人たちはアカリの行動を理解できず、時には批判する。彼女は「大人たちはアカリの行動を『甘え』や『怠け』という言葉で規定するが、アカリはまだ高校生で自ら助けを求めにくい状況だ」とし、「危機に直面した未成年者たちは、必要以上に自分を責めるため状況がさらに複雑になることもある」と説明した。彼女は「自問して自責するアカリの気持ちを、作品に盛り込もうとした」と付け加えた。

この作品は、日本文学界最高権威の二大文学賞の一つである芥川賞の今年の受賞作だ。昨年9月の出版後、日本だけで50万部が売れた。韓国でMZ世代(ミレニアル+Z世代)の声が注目を集めているように、日本の読者たちも若い作家が10代や20代を描いた新作に高い関心を持っている。「何かに愛着を感じなければ耐えられない人と、そうでない人が今の世代にも多かれ少なかれいるのではないか」とし、「私は自分が書きたい話を書くだけだ。20代で多くの優れた作品を書き上げたすごい作家に誠実について行きたい」と語った。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com