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犯罪組織愛用の「通信アプリ」、FBI開発のおとり捜査用だった

犯罪組織愛用の「通信アプリ」、FBI開発のおとり捜査用だった

Posted June. 10, 2021 08:25,   

Updated June. 10, 2021 08:25

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国際犯罪組織がこの数年間、犯罪を企む時に愛用した暗号通信アプリが、実は米連邦捜査局(FBI)が開発した「トロイの盾」だったことがわかった。FBIをはじめ各国の捜査当局は最近まで約100ヵ国の犯罪組織がこのアプリを使った犯罪計画のやりとりを一つ一つ監視して犯罪を予防し、約800人を逮捕した。

9日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、犯罪組織が使う暗号化された通信で頭を痛めていたFBIは、2018年に新しいやり方で問題を解決することを考案した。FBIが通信内容を横取りできるアプリを開発し、犯罪組織に普及させたのだ。作戦名は「トロイの木馬」から取って、「トロイの盾」とつけられた。

FBIは同年初め、犯罪組織のために通信セキュリティ装備を作った専門家を懐柔し、通信アプリ「Anom」を開発した。メッセージが暗号化されるこのアプリは、既存のユーザーの推薦を受けないと加入できない。また、アプリが入った特殊な携帯電話を闇取引で購入しなければならない。この携帯電話は、検挙をかわすために衛星利用測位システム(GPS)が除去されている。6ヵ月の使用料が2千ドル(約223万ウォン)にもなるが、犯罪者の間で人気を呼んだ。最近まで300以上の犯罪組織で1万2千人がこのアプリを使ったと、FBIは明らかにした。

FBIの新しい発想は成功した。犯罪者はこのアプリを通じて2700万件のメッセージをやりとりし、これはそのまま各国の捜査当局にも伝えられた。エクアドルの水産会社が麻薬をアジアと欧州に密輸したことや、南米の組織がバナナの輸出に偽装して麻薬を密輸したことが明らかになった。ベルギー当局は、アプリを通じて入手した情報で、1523キロのコカインを押収した。人命を脅かす犯罪150件も未然に阻止した。オーストラリアでは機関銃を使って1家5人を殺害する犯罪計画が摘発された。

この3年間、多くの麻薬密輸と請負殺人、不法武器取引などの犯罪阻止に使われた「Anom」によるおとり捜査は、協力捜査に参加した米国に情報を送ることができる関連令状が7日で満了となり、終了した。


趙鍾燁 jjj@donga.com