世界各国が新型コロナウイルスワクチン接種率を上げるために全力を取り組んでいる中、接種のインセンティブとして15億ウォンのマンションまで登場した。まるで宝くじのように、巨額の現金を抽選して提供するケースも相次いでいる。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SMCP)が29日に報じたところによると、サイノグループ、チャイニーズ・エステート・ホールディングスなど香港の不動産開発大手は前日、共同でワクチン接種促進しようと景品を提供すると発表した。1等景品は面積42平方メートル(約12.7坪)規模の新しいマンションで、価格は1080万香港ドル(約15億5000万ウォン)だ。今年9月1日まで応募者から抽選で支給される。応募対象は、コロナワクチン接種2回を終えた18歳以上の香港市民権者だ。この他にも抽選を通じて20人に、それぞれ10万香港ドル(約1400万ウォン)が支給される。
香港は、すべての成人が接種できるワクチンを保有しているが、国家保安法(香港保安法)の強行などで住民が政府に不信感を抱き、全人口750万人のうち12.6%だけがワクチンを受けた。先週、香港政府トップのキャリー・ラム行政長官が、現金や現物を与えるインセンティブは排除すると発表したことを受け、民間で景品を与える方式が登場したものと見られる。SCMPは「マンションの提供は住宅不足が深刻な香港では独特の意味がある」と説明した。
ワクチンが余っているが、接種ペースが鈍化した米国では、宝くじのように巨額の当選金を支給する州が登場した。ロサンゼルスタイムズなどによると、カリフォルニア州は来月15日、1回以上ワクチンを接種したカリフォルニア住民を対象に抽選し、10人に計150万ドル(約16億7000万ウォン)、他の30人に計5万ドル(約5570万ウォン)を支給する予定だ。当選金は州政府の税収から支給される。
オハイオ州では26日、「バックス・ア・ミリオン」という名のワクチン宝くじにアビゲール・バーゲンスケさん(22)が当選し、100万ドル(約11億ウォン)を受け取ることになった。今後4週間にわたって毎週1人ずつ当選者が抽選される。ニューヨーク州とメリーランド州もワクチン接種に、それぞれ最高当選金500万ドル(約56億ウォン)と40万ドル(約5億ウォン)をかけた。ニューヨーク市は、4年制公立大学の授業料全額と生活費を景品として掲げた。
こうした「ワクチン宝くじ」は実際効果を出している。オハイオ州では当選金を公示してから今月13~19日の週間接種者数が約12万人で前週(9万人)に比べて33%増加した。
最近、コロナの感染ペースが尋常でないタイでは、子牛が景品として登場した。ロイター通信などによると、タイ北部のチェンマイ州のメチャン地区では、6月の第1週から2~4週間、毎週ワクチンを接種した住民のうち1人を抽選して子牛1頭を贈呈することにした。同地区での子牛1頭の価格は、約1万バーツ(約36万ウォン)だ。人口約4万3000人の同地区はワクチンに不信感を抱く雰囲気があったが、子牛景品のニュースが伝わると、まず接種対象者のうち4000人以上が接種を予約したと、地域の行政責任者は伝えた。
逆にワクチン未接種者に不利益を与えるケースも登場している。米ABC放送によると、フロリダ州セントピーターズバーグで来月開かれるロックバンド「ティーンエイジ・ボトルロケット」のコンサートチケットをワクチン接種者は18ドル(約2万ウォン)で購入できるが、未接種者には56倍の1000ドル(約112万ウォン)で販売される。サウジアラビアはワクチン未接種者の聖地巡礼を禁止し、公共交通の利用を制限することにした。
チョ・ジョンヨプ記者 北京=キム・ギヨン特派員 jjj@donga.com