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顔色をうかがって屈服する政治家、彼らが支払う代償

顔色をうかがって屈服する政治家、彼らが支払う代償

Posted January. 11, 2021 08:11,   

Updated January. 11, 2021 08:11

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滑らかな大理石の柱と赤い徽章に囲まれた大ホールは荘厳だった。大きなシャンデリアがある天井ドームの下で、大型の大理石の像が記者を見下ろしていた。サミュエル・アダムズをはじめ米国を代表する人物の全身の彫像が36体もあることを後日知った。

ワシントン特派員として赴任して訪れた米国会議事堂の「彫像ホール(Statuary Hall)」には、特別なオーラが漂っていた。国会議事堂を紹介した議会補佐官の表情は、ここで一層意気揚々としていた。米民主主義の心臓部を見せているという自負心のためだろう。

その議事堂ホールが、トランプ大統領の支持者に占領される場面は衝撃的だった。何か重要なものが踏みにじられる感だろうか。ザカリー・テイラー第12代大統領の胸像に誰かがつけた血を見て背筋が寒くなった。5人の死者が発生する悲劇となった。トランプ氏が提起してきた不正選挙疑惑と刺激的な扇動、SNSに乗って乱舞した陰謀説に「トランプ派」が激しく反応した結果だった。

最大の責任はトランプ氏にある。しかし、これを防ぐどころか同調して煽った政治家も責任から自由ではない。共和党のテッド クルーズ、ジョシ・ホーレイ上院議員のような人が代表的だ。彼らは6日、上下両院合同会議で、バイデン次期大統領の最終的な勝利確定を拒否すると予告した。約10人の共和党議員を集めて妨害しようとした。

 

分別のない新参政治家は仕方ないとしよう。クルーズ氏は2016年、共和党の有力な大統領選候補だった重鎮だ。ハーバード大学ロースクール出身でテキサス州法務次官まで務めた法律専門家だ。その彼が、「選挙不正があったと信じる国民の前で、このままでは結果を確定できない」という自身の主張が詭弁であることが分からないはずがない。問題になった一部激戦州の大統領選の結果は、州政府が票の再集計まで行って結果が確定されたうえ、80件を超える不正選挙関連訴訟を裁判所がすべて棄却・却下した。

にもかかわらず、平然と不正選挙疑惑を提起するのは、政治的な目的があるということがメディアの共通の分析だ。今後、大統領選への再出馬を狙っているクルーズ氏としては、トランプ氏の支持が必須と計算したことだろう。過激トランプ支持者の攻撃の対象になってはならないと考えたことだろう。

 

常識と所信を捨てた結果は残酷だ。クルーズ氏は「テロリストを扇動してクーデターを煽った」という非難を受けている。ナチスの扇動家だったヨーゼフ・ゲッベルスのような人物であると一瞬にして烙印を押され、これまで積み重ねた政治的評判がすべて崩れる状況だ。同僚議員からまで辞任を要求される孤立無援の境遇になった。

猛烈な支持者はどこにでもいる。彼らの主張は時に根拠が弱く、極度に主観的だ。簡単に扇動され、揮発性も強い。政策や価値観などの理由で票を入れた他のすべての支持者を代表するわけでもない。何より彼らが信奉するリーダーシップがある瞬間、権力から押し出されるか分からない。

軽薄な少数の威勢に押され、原則に背を向けることは責任ある政治家がする行動ではない。彼らがしなければならないことは、正確な事実関係を国民に伝え、大きな絵を提示すること、歪曲した信念を利用したり煽ったりするのではなく、正しい方向で説得することだと信じる。

 

共和党の重鎮のミット・ロムニー議員は、国会議事堂乱入事件の6時間後に再開された会議で、「有権者を尊重する最善の道は、彼らに真実を語ること」と述べた。「これがまさにリーダーシップが負わなければならない負担であり責任だ」と力説し、議員らから拍手を受けた。韓国の政治家にも見ることを勧めたい名場面だった。

 


ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com