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元慰安婦賠償問題、政府は判決だけに頼らないで外交的解決策を模索せよ

元慰安婦賠償問題、政府は判決だけに頼らないで外交的解決策を模索せよ

Posted January. 09, 2021 08:14,   

Updated January. 09, 2021 08:14

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裁判所が8日、旧日本軍の慰安婦だった女性12人が日本政府に対して起こした損害賠償請求訴訟で、日本政府に対して原告1人当たり1億ウォンの支払いを命じる判決を言い渡した。元慰安婦女性が日本政府に対して起こした損害賠償請求訴訟の中で初めての判決で、日本政府の賠償責任を認めたのだ。日本政府は、「主権国家はほかの国の裁判権に服さない」とされる国際法上の「主権免除」の原則を主張したが、ソウル中央地裁は、慰安婦問題は「反人道的犯罪行為として主権免除を適用することはできない」と強調した。

慰安婦問題は韓日関係で最も敏感な事案だ。日本政府は1993年に「河野談話」で慰安婦動員の強制性を認め、2015年の韓日慰安婦合意では「責任を痛感する」と明らかにした。しかし、法的責任は認めなかった。むしろ慰安婦合意後も「平和の少女像」の撤去を求めるなど、心から謝罪する態度を示さなかった。これに対して韓国裁判所が被害者の裁判を受ける権利を認め、日本政府に慰安婦被害の責任を問うたのだ。

しかし、今回の判決で韓日関係がさらに悪化するという懸念が大きい。18年10月、大法院(最高裁)の元徴用工判決と19年7月の日本の輸出規制措置で韓日関係が冷え込んだ状況で、さらなる悪材料が追加されたのだ。さらに今回の判決による賠償の主体は日本政府なので、民間企業を対象にした元徴用工判決より実際に賠償を受けることは難しい。日本外務省は8日、判決が下された直後、南官杓(ナム・グァンピョ)駐日大使を外務省に呼んで抗議するなど、敏感に反応した。

韓日の絡まった糸を解くには、先に日本政府が過去の問題に対する態度を変え、前向きな解決の意志を示さなければならない。菅義偉首相は、元徴用工問題をはじめ韓日の問題に対して強硬な態度を堅持している。加害者である日本が先に手を差し出すことが当然の道理だろう。

韓国政府も裁判所の判決に頼るのではなく、能動的に解決策を模索しなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)政府は、韓日慰安婦合意を認めないとしながらも、慰安婦問題の解決に向けた代案を提示しなかった。元徴用工問題も政府レベルで具体的な解決策を出していない。韓国と日本は安保や経済などの面で協力が避けられない隣国だ。同盟関係の修復を明確にしたバイデン次期米大統領が就任すれば、中国、北朝鮮に対する政策をめぐって日米韓3国の協力体制を強調する可能性が高い。過去の問題を越えて未来志向の韓日関係を構築するために、外交力を集中しなければならない時だ。