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牡牛を愛した画家

Posted January. 07, 2021 08:32,   

Updated January. 07, 2021 08:32

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ユニークな肖像画だ。短い髪に黒いドレスを着た女性が、牡牛と並んで立っている。左手には大きなスケッチブックを、筆を持った右手は広い牡牛の首の上にやさしく載せている。女性は遠いところを眺めているが、牡牛は私たちをじっと見つめている。一体絵の中のモデルは誰だろうか。なぜ牡牛と一緒にいるのだろうか?

エドゥアール・ルイ・デュビュフは、19世紀半ばのパリ画壇の主要画家だった。1853年、ナポレオン3世皇帝とウジェニー皇后の肖像画を描いて、肖像画家として名を馳せた。この絵は1857年のサロン展のためのもので、モデルは当時スター画家だった35歳のローザ・ボヌールだ。デュビュフより年下だったが、ダイナミックな動物画ですでに世界的な名声を得ていた。画家の娘として生まれたボヌールは、幼い頃から動物を飼い、動物画で有名になることを夢見た。画家になった後もウサギ、カモ、リス、ヤギ、雌馬などと一緒に暮らした。野原に出て動物を注意深く観察しながらスケッチし、動物解剖学と骨格構造を勉強するために屠殺場にまで通うほど情熱的だった。

ボヌールはいろんな面で破格的だった。髪を短く切り、ズボンを履き、タバコを吸い、女性を愛した。慣習に縛られないという表現だったが、屠殺場や馬市場の荒い男たちに嫌がらせを受けないための方法でもあった。生涯、動物画を描いた彼女は、すべての動物には魂があると信じ、人々を動物として特徴づけることが好きだった。デュビュフがこの肖像画を描いたとき、本来はテーブルにもたれかかった姿だった。ボヌールは、「退屈なテーブル」ではなく、牡牛が入らなければならないと主張し、画家の同意を得て自分が直接描き入れた。

事実、牡牛はボヌールが最も愛する動物だった。牛はキリスト教の4大福音書著者の1人である聖ルカを象徴する。落ち着いていて強靭な人柄として知られる聖ルカは、芸術家の守護聖人でもある。だから「絵の中の牡牛」は、愚直で強い芸術家・ボヌール自身の姿なのだ。