
米国と北朝鮮の非核化交渉の停滞が長期化している中、北朝鮮が平安南道平城舍人里(ピョンアンナムド・ピョンソン・サインリ)で大陸間弾道ミサイル(ICBM)数基を新たに製造した情況が捉えられたことが8日、分かった。
米当局は最近、舍人里にある自動車工場で北朝鮮がICBMを組み立て、完成した情況を捉えたほか、移動式発射台(TEL)も確認したという。舍人里は、2017年に北朝鮮がICBM級と推定される弾道ミサイルを発射した所だ。米政権関係者は東亜(トンア)日報に、「今後の状況を注視している」とし、「ICBM実験発射、軍事パレードの威力誇示用など、様々な可能性を開いている」と話した。
11月の米大統領選を目前にした時に北朝鮮が米国を射程圏にするICBM挑発を強行する場合、韓半島情勢は大きく揺らぐことになる。トランプ氏は北朝鮮に対する政策基調を軍事オプションまで含めた「炎と怒り」から「交渉優先」に切り替えた後、北朝鮮のICBM発射と核実験の中止を最大の成果に挙げている。
このためICBM発射と核実験は、北朝鮮が越えてはならない「レッドライン」と見なされてきた。北朝鮮は昨年末、「クリスマスプレゼントが何かは米国の決心にかかっている」という外務省談話を通じて、核実験とICBM発射の再開を示唆したが、強行することはなかった。その後、昨年12月28日から31日まで開かれた労働党中央委全員会議で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、「遠からず新しい戦略兵器を目撃することになるだろう」と発言した。
米当局は、舍人里のICBMと共に、最近、△咸鏡南道(ハムギョンナムド)の宣徳(ソンドク)飛行場のミサイル発射準備の動き、△北朝鮮高官の平壌(ピョンヤン)近郊の山陰洞ミサイル研究団地への訪問、△新里(シンリ)弾道ミサイル支援施設の完工が間近であることなどを総合的にみているという。
専門家たちも、北朝鮮の挑発の可能性を懸念している。慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のキム・ドンヨプ教授は、「舍人里のICBMは既存のICBM(火星14、15)を改良したものかもしれないが、完全に異なる新たな兵器システムのミサイルである可能性も排除できない」とし、「北朝鮮軍の夏季訓練の開始前、遅くとも6月前に挑発する可能性がある」と診断した。
ワシントン=キム・ジョンアン特派員 jkim@donga.com