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地球の主

Posted April. 18, 2020 08:16,   

Updated April. 18, 2020 08:16

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新型コロナウイルスの恐怖が多くの問題を圧倒してしまったため、PM2.5がいつ来て去ったのかわからないうちに春が過ぎ去りつつある。実際に今春の大気は例年に比べてきれいだったので、PM2.5による不快さはそれほどひどくなかった。強風や頻繁な降雨など気象的な要因が作用したが、より根本的な原因は、新型コロナウイルスで産業活動が萎縮し、化石燃料の使用が減って、温室効果ガスとPM2.5の排出量が減ったためだ。人間の努力では実践が難しかった温室効果ガスの削減がウイルスによって実現する逆説的な結果だ。

全世界で住民が家に閉じ込められ、都市が封鎖されたり国境まで閉鎖される姿はまるでパニック映画のワンシーンの中に私たちがいるような感じを与える。エイリアンの侵攻や怪物が現れて人間を脅かす時に出てきそうなシーンだ。しかし、エイリアンでもなく恐ろしい怪物でもない。目に見えない微細なウイルスが私たちを脅かしているのだ。

これまで地球の主は人間だと思われた。45億年の地球の歴史で人間の影響が地質層に明確に残る現世を「人類世(Anthropocene)」と呼ばなければならないという主張が科学界で深刻に議論されるほどだった。しかし、地球レベルで人間を縛りつけたのがウイルスということから、果たして地球の真の主が誰か疑念を抱かざるを得ない。

人間はバクテリア、細菌、ウイルスのような微生物と共存して進化してきた。人間の体は、10兆個の細胞で形成されているが、それより10倍多い100兆個の微生物が人間の体の内外で共に生きている。人間の体の微生物は消化を助けたり免疫システムを作るだけでなく、頭脳にまで影響を及ぼし、考えを支配したりもする。しかし、細菌の大きさの1千分の1にすぎないウイルスが微生物を宿主として活動するので、結局ウイルスが地球の気候も変えて人間の行動も変える地球の隠れた主ということなのだろうか。

4月19日は、しばらく科学の日として記念されたことがあった。1932年に「科学朝鮮」という大衆科学雑誌を発行したキム・ヨングァン先生が科学に及ぼした進化論の影響を記念するために、チャールズ・ダーウィンの逝去50年の1934年4月19日を「科学の日」に制定した。進化論が伝えるメッセージは、すべての生命は一から始まり、人間は多くの生命体の一つとして他の生命と共に暮らさなければならない存在ということ。しかし人間による環境破壊で多くの生命体が生存の脅威を受けている。ローマ教皇は、新型コロナウイルスが「自然の復讐かどうかは分からないが、これは確かに自然の応答だ」とし、人間が招いた気候変動と関連があることを強調した。

科学の日はその後、4・19革命記念日と重なったことや、大韓民国初の科学技術担当省庁である科学技術処が発足した日を記念する必要もあったため、1968年からは4月21日に変更され、今日に至っている。その翌日の4月22日は「地球の日」だ。すべての生命が共生し、地球を美しく維持していく道を改めて考えてみる日だ。


李恩澤 nabi@donga.com