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ーベル賞を受賞するには「ノー・ベル」を

ーベル賞を受賞するには「ノー・ベル」を

Posted October. 29, 2019 09:12,   

Updated October. 29, 2019 09:12

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毎年10月はノーベル賞発表のシーズン。私たちは今年も客席でただ拍手するだけだった。隣国日本は昨年に続き連続して受賞者を輩出した。そのためか、最近の韓国科学技術研究院(KIST)の国政監査の場では自然とノーベル賞の話が出た。関心事はやはり、韓国はなぜノーベル賞を受賞できないのか。ある議員が叱責した。「科学技術者の努力が足りず、心構えがなっていないため」と。政府で長官まで務めた官僚出身の議員が指摘した「なっていない心構え」とは、科学者が研究成果を出すことに集中せず、管理者になろうと血眼になっているということだ。

それでも韓国の科学水準をこれほどまでに発展させるのに大いに貢献したと自負するKIST関係者は、このように言われて何を思っただろうか。心の内は、流行り言葉で「お前こそ」だろう。政府が予算はほんの少ししか渡さないのに、つまらない規制と干渉が多いという不満だ。そのような状況で研究に集中する気になるのかということだ。

科学界にはこのようなユーモアがある。政府が十分な資金と時間を与えることもなく、すぐに研究が進展したかと確認する「ベル(bell)」を押すのだが、最低限このベルをなくすだけでも、つまり「ノー・ベル(No Bell)」なら、ノーベル賞を受賞できるという話だ。レストランで従業員を呼ぶベルを必要以上に頻繁に押せば、従業員がサービスの質を高めようと努力するよりもいら立つだけだという論理と同じだ。

ノーベル賞を最も多く受賞しているのはユダヤ人だ。過去の受賞者のうちユダヤ人の割合は20~22%。特に経済学賞の受賞率は40%にのぼる。ユダヤ人の人口は約1500万人。世界人口の0.2%にすぎないことを考えると実に驚くべきことだ。政治をする人々は、学者に催促する前にユダヤ人がノーベル賞を多く受賞する理由が何かまず調べるといい。そうしてこそ私たちに何が必要なのか答えを探せるだろう。

ユダヤ人のノーベル賞受賞の秘訣は、一にも二にも三にも教育を最優先にする風土だ。それも創意教育だ。むろん、彼らが考える創意性は私たちとは異なる。私たちは「他人より優れる」ことを強調するが、彼らは「他人とは違う」ことを創意性と考える。そのため自分だけの長所を探して発展させようと努力する。一クラスに30人いた場合、人より優れることが基準なら1位は1人しかいないが、他人と違うことを追求した場合、30人皆が自分の分野で1位になることができる。人口が少ないユダヤ人の間に1位が多い理由だ。

経済学賞を多く受賞するのにも明らかな理由がある。金に対して非常に肯定的なマインドを持っているからだ。ユダヤ人は数千年間、国を持たずにさ迷い、「金が命を救う」、「全ては金がものをいう」という考えを持つようになった。金を重視するため、金を扱う経済に大いに関心を持つ。金融界などで世界的なユダヤ人の富裕者が多いのも同じ脈絡だ。

世の中に無償はない。ノーベル賞を望むなら、それに見合った投資をしなければならない。うらやましければ実行することだ。


李恩澤 nabi@donga.com