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「キャンセルされた展示」を展示する美術館

「キャンセルされた展示」を展示する美術館

Posted December. 20, 2018 08:23,   

Updated December. 20, 2018 08:23

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「この展示はキャンセルされました(This exhibition is cancelled)」

開幕直前に展示が突然キャンセルされた。当然展示されている作品もなかった。ところがこの展示スペースを5ヶ月間10万人以上が訪れる珍しい風景が繰り広げられた。英スコットランドでも指折りのグラスゴー現代美術館(GoMA=Glasgow Gallery of Modern Art)での出来事だ。5月から10月まで開かれたこの展示でない展示のタイトルは、まさに「この展示はキャンセルされました」だった。

先月29日に訪れたGoMAで展示企画を担当したキュレーターのウィリアム・クーパー氏に、いったいどういうことなのか尋ねてみた。当時、元々予定されていた展示は、オランダ出身の作家マリ・モールの個展。スコットランドでの初の個展だった作家は、美術館と数回協議したが、予算などの問題でなかなか折り合いがつかなかった。結局作家が展示をキャンセルした後、美術館はだだっ広い素顔が明らかになった空間を観客に開放した。

「どうせ空いているスペースだから、誰でも気軽に美術館の敷居を跨げるようにしたかったのです。スペースを使いたい人は、美術館のホームページを通じて申し込めるようにしました。すると、描画クラスからヨガ教室、映画上映まで、様々なイベントが開かれました。一人でダンスの練習をする人もいて、そのおかげで素晴らしい内部が撮れたと喜ぶ写真家もいました。うまく通じましたね」

実はGoMAとしても、これはかなりの冒険だった。GoMAは、地元政府の予算と寄付で運営される。タバコ取引商だったウィリアム・カニンガムの大邸宅を改造して、1996年に開館後、欧州でも注目される現代美術のハブとして挙げられる。しかし最近、政府の予算削減で苦労していただけに、このような試みは「税金の無駄遣い」という批判を受けたこともあった。キュレーターのクーパー氏は、「現代美術の価値を理解していない批判は常にあった」とし、「美術館を訪れた観覧客たちは、作品鑑賞でなくても、芸術への新しい考えを持つようになったと信じている」と話した。

実は国内でも、今年突然展示がキャンセルとなった出来事が起きたことがある。8月に開かれる予定だったソウル世宗(セジョン)文化会館の「エドガー・ドガ:新しい視点」展が、作品の配送問題で開幕二日前にキャンセルされた。結局、すでに芸術の殿堂で披露した民画展を再開催する笑えない出来事が起きた。クーパーキュレーターは、「ごく少数の美術館を除けば、展示のキャンセルはいつでも起こりうることだ」とし、「代替展示であれ、何であれ、重要なのは美術館が観客のために文化的なチャンスを作ることだ」と強調した。韓国で美術の展示は、観客に何を与えているのだろうか。


金民 kimmin@donga.com