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32歳でサウジの権力を握った「ミスター・エブリシング」

32歳でサウジの権力を握った「ミスター・エブリシング」

Posted July. 27, 2017 09:10,   

Updated July. 27, 2017 09:16

サウジアラビアのサルマン国王(82)が24日から1ヵ月間、モロッコに長期休暇に出かけることを受け、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32)がしばらくの間、国政の全権を握る。サウジの国営SPA通信は、「サルマン国王は自分の不在期間に国家の重大事を掌握して国民の利益を守るよう勅令をサルマン皇太子に下した」と伝えた。

カリフが海外に休暇に出かける時、後継者に国政運営を任せることが慣例だが、先月、王位継承権者になったサルマン皇太子がこの役を務めるのは初めて。サルマン皇太子は先月21日、いとこで前皇太子のムハンマド・ビン・ナエフ内務相(57)を退けて権力の前面に現われた。

皇太子交代の発表時は抱擁するなど表向きは温かいムードが演出されたが、実状は緻密で殺伐とした「王座ゲーム」だった。サルマン国王は跡継ぎの交代を発表する前日夜、ナエフ氏を王宮に呼んだ。薬物(鎮痛剤)中毒を問題視して皇太子の座から退くよう迫った。同時間、サルマン皇太子の側近はサウジ王族の元老で構成された王位継承委員会に書信を送り、皇太子交代の説得を始めた。

携帯電話を奪われて監禁されたナエフ氏は夜が明けて皇太子の地位をあきらめた後、やっと王宮を出ることができた。外で待っていたサルマン皇太子は、「あなたの指導と助言を決して忘れない」と言って、ナエフ氏の手の甲にキスをした。2年以上続いた王権争いに終止が打たれたのだ。現在、ナエフ氏は家宅軟禁中だという。

昨年、最年少で国防相に任命されたサルマン皇太子は、サウジ国営石油会社のサウジアラムコの会長を兼職している。また、王室の経済・開発委員会の議長でもあり、サウジの経済体質改善に向けた脱石油改革政策「ビジョン2030」を主導してきた。サルマン皇太子は、保守的なサウジの門戸を開放し、女性の権利を擁護する政策で若年層の支持を受けている。欧米ではサウジの権力を握る彼を「ミスター・エブリシング」と呼ぶ。

実勢皇太子が権力の前面に現われ、サウジ政界が若返るという展望も出ている。高齢の国王がアルツハイマーを患っているという説が流れるほど健康状態が悪く、サルマン皇太子は30代で王座に就くものと見られる。

「若い血」に対する憂慮の声もある。サルマン皇太子は、サウジ内部で改革のアイコンだが、今年初め、イランとの外交断絶を宣言するなど外交的には強硬路線を歩んでいる。国防相として主導したイエメン軍事介入後、事態は一層悪化し、カタール断交事態も解決策を見いだせない状況だ。サルマン皇太子の若くて攻撃的な指向が、中東地域の不確実性をさらに大きくする恐れがある懸念される理由だ。



朴民優 minwoo@donga.com