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脳インプラント、下半身麻痺を治療

Posted November. 10, 2016 07:05,   

Updated November. 10, 2016 07:34

事故で脊髄神経が損傷して下半身麻痺となった患者を治療できる技術の手がかりができた。下半身麻痺の患者は毎年、世界で25万〜50万人が生じているが、これまで有効な治療法がなかった。

スイス・ローザンヌ連邦工科大学のグレゴワール・クルティーヌ教授チームは、下半身が麻痺したサルの脳と脊髄に神経に代わる電気電極を埋め込んで、正常に歩かせることに成功したと、9日(現地時間)、科学学術誌「ネイチャー」で発表した。

クルティーヌ教授チームは、人間の神経細胞も同様に微弱な生体電気で信号をやり取りすることに着目した。研究チームは、胸椎7番付近の脊髄神経が損傷されたサル2頭の脳に、小型電極を埋め込んだ後、ここから発生する電気信号を無線で腰まで伝える装置を考案した。脳から下された命令が、直ちに腰に埋め込んだ電極を経て、足に伝わるように考案したのだ。実験の結果、2頭のサル共に正常に歩くことができた。

クルティーヌ教授は論文で、「今回の研究に使われた神経信号解読や伝達方式などの技術は、実際、下半身麻痺患者の治療に活用できるだろう」と明らかにした。

英ニューカッスル大学神経科学研究所のアンドリュー・ジャクソン研究員は、「脳とコンピューターとをつなげる技術は2008年にサルに適用後、4年後には直ちに人間対象の実験を開始した」とし、「今回のクルティーヌ教授の技術も、10年内に人間に適用できるだろう」と見込んだ。

これまで、下半身麻痺患者への治療研究は多くなされてきたが、このように完全な治療効果を見せたのは今回が初めてだ。医学界では、患者の脊髄神経を蘇らせる「幹細胞」治療法を主に研究しているが、まだ、霊長類に適用して成功した事例はない。

KAIST生命科学科の金大洙(キム・デス)教授は、「脳の信号をロボットアームなどに伝える実験はあったが、足の方に脊髄を繋げたのは今回が初めてだ」とし、「神経を実際に蘇らせなくても、機能を回復したのは驚くべき結果だ」と話した。



신수빈 シン・スビン東亜サイエンス記者 동아사이언스기자sbshin@donga.com