Go to contents

[オピニオン]「王様と私」そしてタイ

Posted October. 17, 2016 08:32,   

Updated October. 17, 2016 08:53

한국어

映画「王様と私」は、シアム(現在のタイ)の王と英国出身の若い未亡人家庭教師「アンナ」とのラブストーリーを盛り込んでいる。素足の王とアンナが広いホールを横切りながらダンスをするシーンや、その背景音楽「Shall We Dance?」が有名だ。19世紀、シアム王室で家庭教師として働いたアンナ・レオノーウェンズの回顧録を基に、マーガレット・ランドンが小説を書き、ここから1951年にはブロードウェイのミュージカルが、1956年には映画が作られた。

◆「ハリウッドキッズ」である韓国の中高年世代にとって、「タイ」と言われた時に浮かぶ上がるこの映画を、いざタイでは見ることができない。ミュージカルも禁止となっている。王室を誇張し、歪曲して描いたという理由からだ。東洋を異国的かつ後進的社会と眺める欧米人の視線、すなわちオリエンタリズム的要素が結構ある。王の実際のモデルとなったラーマ4世は、13日に死去したプミポン国王の曽祖父だった。

◆1946年に即位したプミポン王の恋愛ストーリーも、映画のようにロマンチックだ。スイス留学時代に交通事故に会って右目を失明したが、当時、自分を手厚く看護してくれた少女と恋に落ちて結婚したのだ。世界最長寿の在位記録を持っている氏は、繰り返される軍部クーデターなど、国が危機に陥るたびに、国民を一つにまとめる求心点の役割を果たしてきた。絶対的敬愛対象だった王の死の前で、国全体が悲嘆に浸っている。政府は1年間の哀悼期間を宣言したのに続き、1か月後に開かれるワールドカップアジア地域予選ホーム試合の場所まで変えてほしいと要請したほどだ。

◆プミポン王の死去は、タイに大きな変化をもたらすものとみられる。ワチラーロンコーン皇太子(64)は、3度も離婚して4度目の結婚をするなど、私生活が複雑なため、国民からあまり信頼されていない。王になっても、先王のような影響力は行使できないものとみられる。2014年にクーデターで政権についた軍部や主流勢力が皇太子を支持しているが、皇太子は2006年に追い出されたタクシン勢力を支持し、政治不安が深刻になることもありうる。昭仁天皇(82)は2か月前、健康を理由に生前退位の意思を明らかにした。「精神的柱」の役割を果たしてきたアジア諸国の王室が徐々に暮れていくような気がする。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com