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[社説]「韓日請求権協定」却下の決定に込められた憲法裁の苦慮

[社説]「韓日請求権協定」却下の決定に込められた憲法裁の苦慮

Posted December. 24, 2015 07:28,   

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憲法裁判所は23日、日本による植民地支配期で強制徴用された被害者の娘、イ・ユンジェさんが起こした「韓日請求権協定」憲法訴訟事件で「却下」の決定を下した。却下は、憲法訴訟の要件を満たしておらず、合憲か違憲を決める対象にならないという判断だ。今回の決定で、韓日請求権協定の効力は影響を受けなくなった。もし憲法裁が違憲決定を下したなら、韓日関係を揺さぶる外交的波紋は大きくなったことだろう。

イさんは2007年に制定された「太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者など支援に関する特別法」によって、2009年に国家が1165万6000ウォンを支給することを決めると、行政訴訟と憲法訴訟を起こした。1965年に締結された韓日請求権協定は日本政府と企業に対する個人の賠償請求権を制限しており、憲法上「過剰の禁止」原則に反するという主張だった。しかし憲法裁は、韓日請求権協定の違憲の有無は、イさんが提起した行政訴訟の結果に影響を及ぼさず、違憲かどうかを判断する必要がないと判断した。合憲であれ違憲であれ、どちらにしても影響が大きくなるが、憲法裁が上手い手を見つけた感じだ。

強制徴用被害者問題は、旧日本軍慰安婦問題とは違って、韓日両国が請求権協定で解決したと合意した8項目に含まれる。日本政府と裁判所はこの問題は「最終的かつ完全に解決した」という立場だ。韓国人強制徴用被害者が提起した損害賠償訴訟でも、日本の裁判所は一貫して原告敗訴の判決を下している。韓国政府もこの問題は請求権協定で解決した事案と見ている。しかし、大法院(日本の最高裁判所に該当)が2012年に日本企業に損害賠償を請求する個人の権利を認める判決を下し、日本が反発して事態が複雑になった。

韓日請求権協定のような国家間条約は、国内法と同様の効力を持つ。尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が23日、憲法裁の決定前に放送記者クラブの討論会で、「国内で判決を下したことが国内で終わる状況は過ぎ去った」とし、「賢明な決定を期待する」と述べたのも、このような状況を念頭に置いたからだ。最近、国家賠償と個人賠償を別問題として判断する流れもあるが、国家間の協定を裁判で覆せば、国益に悪影響を及ぼす恐れがあるという憲法裁の苦慮が、今回の決定に含まれている。