国民総可処分所得(GNDI)で消費せず、残った所得の比率である総貯蓄率が、今年第1四半期は36.5%と集計された。実際、銀行に貯蓄した金が所得の36.5%という意味ではなく、総所得が100万ウォンなら、36万ウォンほどは使わず、残しておくという意味だ。第1四半期の基準だけを見れば、1998年以降、17年ぶりに最も高く、昨年同期より1.5%ポイント上昇した。国民が財布のひもを緩めず、貯金する現実を示す統計だ。
韓国の総貯蓄率は1988年の41.7%まで高まった後、下落を見せたが、2013年から今年までの3年間連続して上昇に転じた。金があっても思いっきり使うことができないのは、それだけ未来への不安が膨らんでいるという意味だ。景気低迷の長期化に所得伸び率の減速、家計負債の増加や住宅保証金の上昇、そして老後への備えの必要性のためだ。国民年金も老後を依存するには十分な金額ではない。韓国開発研究院(KDI)は昨年、「引退後、生存期間が長くなり、これを見込んだ大半の年代が老後への備えのために、消費性向を下げる傾向にある」として、現在の中高年層が高齢者になる時期には、内需がさらに低迷する可能性が高いと主張した。
日本でも1990年代前半、バブル経済の崩壊で始まった「失われた20年」の時に、このような現象が目立った。★1960年代以降の高度成長の時は、「明日は今日よりよくなるだろう」と思っていた韓国人が、今は、「子供の世代が我々の世代より豊かに暮らすことができるかどうかわからない」と懸念しているため、韓国の総貯蓄率が高まったのだ。
高い貯蓄率は経済発展の初期段階では投資資金の調達に役立ち、前向きな効果が大きかった。しかし、経済が一定規模以上に膨らめば、貯蓄率の上昇をひたすら喜ぶわけにはいかない。消費を減らし、著得を増やせば、内需が低迷し、経済活動が委縮され、総体的に不況に陥る「貯蓄のパラドックス」のためだ。
最近はMERS騒ぎまで加わり、ただせえさえ冷え込んでいる消費心理が、さらに低迷している。大韓商工会議所の会長団が一昨日、緊急会議を開き、国内休暇の奨励や地元特産物をプレゼントするなどの消費刺激運動に乗り出した。政府や与野党政治圏が国家債務が膨らむ副作用を冒してまで、補正予算案の編成に共感を示したのも、内需低迷をこのまま放置するわけにはいかないという判断によるものだろう。官民が力を合わせて、成長の火種を蘇らせ、未来への自信を回復するのに全力を傾けるべき時期だ。






