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欧米ではなく「中東」の目線で見る中東歴史

欧米ではなく「中東」の目線で見る中東歴史

Posted June. 20, 2015 06:57,   

MERS(中東呼吸器症候群))で、「中東」という言葉をいつになく多く目にし、耳にしている最近だ。「バーナード・ルイスの生と中東の歴史」という副題のついた本「100年の記録」は、だからとりわけ目につく。

ところが、相当な重さを持っている。バーナード・ルイス(99)は、中東研究史においては欠かせない学者だ。「100年の記録」というタイトルは、今年で99歳の著者の一生を指すものでもある。この本は、バーナード・ルイスが100年間の人生や業績をまとめて、これまでの中東歴史に目を通した本だ。氏は、ヘブライ語にはまっていた幼時期を始め、中東について長い間関心があったため、中東歴史学者としての道に足を踏み入れたのだ。第2次世界大戦中、中東で服務した経験などを打ち明けている。トルコ大統領のトゥルグト・オザルやイスラエル首相のイツハク・ラビン、ヨルダン国王のフセインなど、中東の複数の人物との出会いについての回顧も盛り込まれている。

極めて個人的な記録のような気もするが、一冊全体が100年間の中東史の記録だ。バーナード・ルイスならではの中東史観を確認できるきっかけでもある。氏が主張しているのは、欧米の目線ではなく中東の目線で中東史を眺めるべきだということ。

たとえ、イスラム勢力が米国と対立する理由について、著者は、中東が西洋諸国を眺める観点から答えを探している。2001年の9.11テロにより、米国への中東の反感が世界に伝えられたが、「なぜ、イスラムは米国と対立するか」についてはこれといった答えは出てこなかった。米国は中東のいかなる部分も占領しようとせず、むしろ中東の独立を支援してきたので、米国が中東の敵対対象だということは納得できない部分だった。バーナード・ルイスは、大半のムスリムにとってアイデンティティや忠誠心の基礎は、国や民族ではなく、宗教だということに注目している。中東から見れば、キリスト教世界とみなされている欧米諸国は一つのまとまりであり、自分たちをいじめてきたキリスト教世界の代表国は米国だ。これがムスリムたちの反米感情の起源となる。

「歴史学者らは道徳的で職業的な責任感を基に、過去の真実を正確に見つけ出し、把握したものをそのまま示して、説明しなければならない。私はこのような責務を果たすために、真剣に努力してきた」。著者が明らかにしたように、この記録はバーナード・ルイスのその努力の汗水でつづられた一冊の本だ。



kimjy@donga.com