大統領府の閔庚旭(ミン・ギョンウク)報道官は11日、米国の高高度ミサイル防衛システム・サード(THAAD)問題について、「政府の立場は3ノー(No Request、No Consultation、No Decision)だ」と述べた。「(米国の)要請がなかったため、協議もなく、決定されたこともない」という意味だ。与党セヌリ党の院内指導部が、党・政府・大統領府の政策調整協議会などでサードの公論化を予告したことに対しては、「慎重なアプローチが必要だ」と線を引いた。
政府は、サード配備問題を公に議論する場合、韓米関係、韓中関係で韓国の外交的位置づけと戦略が制限される恐れがあると判断しているようだ。国防部が、在韓米軍にサードが配備されれば安全保障に役立つという点を認めながらも、「購入計画はない」と否定するのも同じ脈絡だ。しかし、国家安保のための選択を何度も先送りし、周辺国の顔色だけをうかがえば、国民は不安になり、周辺国も韓国を侮るだろう。
昨年発表されたキム・ジンミョンの小説「サード」は、サードを民族の生存のための防衛兵器ではなく、中国のミサイルを無用の長物にする万能兵器として描いている。野党新政治民主連合の議員も同様の考えで、「サードは、中国とロシアを牽制する米国の本土防衛用ミサイルであり、サードが配備されれば韓半島が中国とロシアの攻撃目標になるだろう」と主張した。
中国は、サードを運用するためのXバンドレーダーの探知範囲が2000キロに達するため、中国を監視する用途に使用されると主張する。しかし、サードのレーダー探知距離は600キロだ。北朝鮮の核開発に生温い対応をし、事実上幇助してきた中国は、韓国が北朝鮮の核の脅威に備えてサードを導入することに反対する資格も大義名分もない。
北朝鮮は、韓米合同軍事演習「キーリゾルブ」が始まった2日、弾道ミサイル2発を東海(トンヘ・日本海)に発射した。ミサイルはそれぞれ495キロ、493キロ飛んだ。北朝鮮が軍事境界線付近まで移動発射台を接近させれば、韓国どこでも攻撃できることが確認されたのだ。このような状況で、サードの導入によって米国に隷属することになるという一部の左派勢力の主張は、重大な事実歪曲だ。韓国の陸上ミサイル防衛対策は、迎撃高度15キロにすぎないPAC2ミサイルだけだ。サードは地上40〜150キロ地点のミサイルを迎撃できる。
サードのような戦略的兵器システムの導入の有無は、政府が国家安保の次元で決断する事案だ。軍統帥権者である朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が様々な意見を聞いて最終決定を下し、国民と周辺国を説得しなければならない。新政治民主連合は反対ばかりしてはならない。サードの導入をめぐって米国と中国のいずれかを選択するかのように主張することは、中国の論理の追従だ。新政治民主連合は最近、イメージ刷新のために「安保には与野党がない」と強調している。この考えを行動で実践するには、サードの議論から変化した態度を示さなければならない。






