
小説「三国志演義」で呉の軍師・周瑜は死の瞬間を迎え、天を恨んだ。「周瑜をこの地に送っておいて、なぜまた諸葛亮を送ったのですか」
5月25日まで国立現代美術館・果川(クァチョン)館で開かれる回顧展「曼茶羅」の作家、パク・ヒョンギ(1942〜2000)を周瑜に例えるなら、諸葛亮はペク・ナムジュン(1932〜2006)と言える。同時代に活動したペク・ナムジュンほどの名声を得ることはできなかったが、パク・ヒョンギは西洋のメディア技術に東洋の思想を融合させた、オリジナルスタイルの構築にまい進した。
今回の展示会は遺族から寄贈された作品と資料約2万点を2年間整理し、初めて公開されるアーカイブ展だ。20代の学生時代のメモから全盛期の代表作を再現した造形物、末年のアイデアスケッチに至るまで、約1千点が公開される。パク・ヒョンギは国内外で個展を開催し、光州(クァンジュ)ビエンナーレに参加するなど旺盛に活動していたが、胃がんの診断を受け、まもなく命を落とした。
回顧展のタイトルは、1997年の夏、米ニューヨークで初公開された映像作品の名前から取った。曼茶羅は宇宙の本質的な真理を表現した仏画だ。円形に映写される画面の中に、色とりどりの群像が絡み合って、奇妙な動きを繰り返しながら、目まぐるしく転換し続ける。少し注意深く見ると、個別の映像はポルノの画像であることに気づく。曼茶羅をルーツであるインド大乗仏教の密教が、8世紀以降「性力」を重視するタントラにつながったことに着目している。
作家不在の展示会だ。そのためか、彼の痕跡は作品よりは作業ノートに鮮明に残っている。1990年代の展示ポスターの真ん中で伸ばした五本指の傍の落書きに、普段の想念がぎっしり詰められている。「人の顔には五官(五つの感覚用器官)があり、音の基本も五つ、人の機運も五つ、地の方位も五つ、基本色相も五つだ」。
20代に伝統文化の研究にまい進し、映像メディアではまずイメージを伝える「理由」を求めた作家の傾向を多少なりとも推測できる。しかし、流れのない作品の配置は、作家の内面に近づけないまま空回りしている。