ニューヨークとパリ。地球上で最も有名で、羨望を受けている都市だ。それで、二つの都市を背景にした映画は数え切れないほど多い。国内で公開された映画のタイトルの中に、ニューヨークとパリが登場する作品も、数十件に上る。「ニューヨークから来た男、パリから来た女」さえあるではないか。
「フィルム、ニューヨーク」、「フィルム、パリ」は、これらの都市で撮影した映画を扱った本だ。ニューヨーク関連映画44本と、パリ関連映画46本を紹介し、印象的なロケ地を集中的に取り扱っている。「ティファニーで朝食を」(1961年)で、黒いイブニングドレスをまとい、サングラスをかけたオードリー・ヘプバーンが、商店前でパンを一口食ってため息をつくシーンの背景となったニューヨークマンハッタン5丁目のティファニー宝石商店を紹介するというやり方だ。
映画の中の都市を紹介した旅行関連書は、たまにあるが、複数の映画評論家が、映画に重点を置いて執筆したということが違っている。「ポンネフの恋人」(1991年)を撮影した時の俳優らの怪我やポンネフの再建築で、実際の橋での撮影が不可能になると、周辺にセットを作っておいて撮影したという内容や、「アニーホール」91977年)で、主人公のアルビー・シンガーの幼い時代に出てくるジェットコースターの下の揺れる自宅は、元々脚本には無かったが、ウディ・アレン監督がロケ地を探していたところ、見つけて取り入れたものだという、「事細かな」情報も多い。ただ、念を入れた構成にもかかわらず、翻訳調文章のせいで、すらすら読めない。






