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[オピニオン]高銀と春樹

Posted October. 12, 2013 03:51,   

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今年、京畿道水原市(キョンギド・スウォンシ)に引っ越した詩人、高銀(コ・ウン)氏の自宅の前には、10日の昼間から取材記者や放送局の中継車がかけつけた。同日午後8時、ノーベル文学賞の発表が予定されたためだ。家の外では、取材陣が受賞確率の話をして騒々しかったが、家の中は特に人の気配もなく静かだった。発表の瞬間が近づくと、緊張感が高まった。午後7時30分頃、中継車が一斉に照明をつけ、放送局の記者たちがマイクを持って門の前に立った。

◆スウェーデン・アカデミーが今年のノーベル文学賞をカナダの作家、アリス・マンローに授与すると発表した。中継車と記者たちは一瞬にして引き潮のように消えた。毎年10月の第2木曜日に高氏の自宅前で繰り返される光景だ。2000年代初めから毎年、ノーベル文学賞候補に名前が挙がる高氏は、再び来年に期待をかけることになった。

◆韓国だけが残念がったのではない。隣国日本も有力候補と言われた小説家、村上春樹が受賞できずがっかりした。英国の賭けサイト、レッドブロックスが村上春樹を今年受賞する確率が最も高い候補と予想したため、ファンの落胆はより大きかった。ある経済評論家は、ハルキノミクス(村上春樹の受賞がもたらす経済効果)を100億円と推算したが、その夢が消え去ったわけだ。東京新宿のある大手書店は、「ノーベル文学賞まもなく発表」という垂れ幕を掲げ、発表直後に「それでも応援を続けます」に変えたという。期待があまりも大きかったためか。10日、産経新聞の電子版は、村上春樹が受賞したという誤報まで出した。

◆高氏は、2008年に詩作活動50周年を記念する詩集を出し、次のように述べた。私の人生の後半は前半の決算に留まるのではなく、新たな疾風怒涛の時期になりそうだと。この言葉のとおり、安住することなく、毎日熾烈な創作に取り組んでいる。高氏は、「世の中で最も高い名前が詩人であり、生涯これを守ろうと努力してきた」と話す。ノーベル賞受賞の有無に関係なく、彼はすでに最高の栄誉の名前を守った詩人だ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com