暴風雨を海神の怒り程度に理解していた時代、新しく作った船を始めて海に浮かべる儀式は、大自然に生命を守って欲しいと祈る、切実とした祭礼だった。大漁の夢を叶えるためにも、海戦で百戦百勝を挙げるためにも、丁重な儀式が必要だった。これが進水式の由来だ。陸地のドックと繋がっている進水テープを切る行為は、新しい生命と母性を繋ぐへその緒を切るのと同じだ。それでか、殆どの国で進水式を仕切るのは女性だ。英語の船(ship)には女性性(she)が与えられている。
◆女性が主管した軍艦の進水式の始まりは、19世紀初め、英国のヴィクトリア女王時代までさかのぼる。欧州の伝統に従った米国も、1827年に砲艦「コンコード号」の進水式を女性が主管した。ただ、「ポーツマスから来た若い女性」とだけ言及されており、誰なのかは確認されていない。19年が過ぎた1846年になって、フィラデルフィア出身の著名人の娘、ラビナ・ワットソンさんが「ジャーマンタウン号」の進水を主管したという記録がある。日本は、女性に拘ってはいないようだ。ただ、幸運をもたらす銀の斧でテープを切る習慣がある。
◆進水式のもう一つの見ものは、船首部分に「液体」が入ったボトルを割る儀式だ。伝統的に赤ワインが良く使われているが、時にはウィスキーやブランデーも使った。船を作る地域の海水や川水を使ったという記録もある。だが、20世紀以降は、シャンパンが主流だ。赤ワインが生贄を捧げるという意味なら、シャンパンには祝福の意味が盛り込まれているようだ。
◆昨日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が軍統帥権者として初の進水式を主管した。大統領夫人や国防長官夫人、もしくは海軍参謀総長の夫人がしていた慣例を破ったのだ。慣れている印象を与えた。41年前、20歳のとき、スペインで行われた油槽船の進水式を主管した経験がある。日本植民地支配下で青山里戦闘の英雄、金佐鎮(キム・ジャジン)将軍の名を取った4番目の1800トン級潜水艦が、これから我々の領海を守ってくれる。水面に浮かび上がらないで2週間、水中での作戦遂行が可能で、燃料の再充填なしでハワイまで往復できるというから、百戦不殆を期待してみる。
ハ・テウォン論説委員 triplets@donga.com






