2週前の週末の朝。仲良くしている年配の「おばさん」が、ソーシャルメディアに京釜(キョンブ)高速道路下り線のトールゲートがスイスイと流れているという情報を書き込んだ。常習的な渋滞区間が珍しく閑散としているのは不思議だね、と聞いたところでけんつくを食わされた。「あなたは、教育担当記者をしているくせに、中高校の期末テストが近づいているのも知らないの?」と。
筆者も期末テストが目前に迫っていることは知っていた。だが、それが高速道路の交通量にも影響を与えることは知らなかった。「おばさん」によると、期末テストの1ヵ月前から、「お母さんネットワーク」が緊密に稼動するため、デパートも混雑しなくなると言う。漠然としたイメージしでしか聞こえなかったお母さんネットワークとは何たるものかという疑問が沸いた。中高生の子供を持つ知人たちに調べてところ、そのシステムとは、大体次のようなものだった。
子供の私教育事情に詳しい一部のお母さん、いわゆる「豚ママ(常に子供たちを従えているという意味で付けられた、教育ママの異名)」を中心に、学校別の既出問題をうまく入手している学習塾や、短期間で成績を上げてくれる科目別の家庭教師に関する情報が出回る。豚ママとの人脈を使って情報を得た一般ママは、子供を運ぶために、旅行や買い物などはオールストップ。とくに大学受験に反映される最後の内申書成績となる高校3年1学期の期末テストは、まさに情報合戦だという。
お母さんネットワークは、一つや二つではない。内申書成績を取り巻く競争が本格化すれば、同じ学年のお母さん同士のネットワークは用途廃棄となる。一つや二つ上の学年の先輩お母さんネットワークを別途築いておかねばならない。科目に応じて、ネットワークの規模も変わってくる。
もちろん、これは一部の地域、一部のお母さんの話である。だが、こうした少数派同士の競争が激化しているため、信じられない光景も起きている。今回の取材で耳にした話の中に、一番ショックだったのは、ソウル市内のホテルの裏側にあるホストバーの文化だった。徹底した会員制で運営され、既成会員2人の保証がないと入れない同店の客には、中高生生徒を持つ中年の女性が少ないないという。お母さんネットワークを固めるため、情報を持っていないお母さんが豚ママを、また豚ママが最優等生のお母さんを「接待」するアジートに使われているという。ここで同じ家庭教師付けるグループを作ったという高校生の保護者は、「最初は、こんなことで良いのかとも思ったが、実際、子供の成績が上ると、止まらなくなった」と話した。
最近は、こうしたお母さんネットワークが乳幼児のレベルまで下がっている。子供が3、4歳になると、お母さんたちが三々五々と英才教育機関を選んで回りながら人脈を作り、その人脈をを英語幼稚園や私立小学校まで持っていこうとしているという。産後ケアセンターを中心に回っている教材販売外交員たちが、いわゆる「ケアセンター同期」同士のお母さんネットワークを管理してくれていることを、売り物にしている場合もある。
お母さんネットワークで武装した子供を、そうでない子供が乗り越えるのは、現実的に困難なことだろう。ふと、数年前に子供を名門大学に入れたというお母さんを取材したとき、「まさか、子供を産んだ後も仕事を続けるつもりではないでしょう?無責任なことですよ」と言われたことを思い出した。現実がこんなものだから、韓国の私教育を追放する唯一の方法は、すべてのお母さんを強制的に就業させる道しかないという話が出ているんだなと思うと、悪い後味がする。






