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[オピニオン] 図書定価制と街中の本屋

Posted February. 01, 2013 07:48,   

1945年、ソウルタプゴル公園周辺で、小さな書店「マリソサ」が営業を開始した。ここは単に本を売り買いするところではなく、 金起林 (キム・ギリム)、金光均(キム・グァンギュン)、金洙暎(キム・スヨン)など、その時代の文人らが好んで出入りした精神的安息所だった。本屋のオーナーは、「木馬と淑女」、「時が流れば」で有名な詩人・朴寅煥(バク・インファン)。その本屋は3年も耐えられず廃業に追い込まれたが、後日、詩人はこのように振り返った。「なんら未練など無い。そのときに出入りした友人らと付き合えただけでも、幸せだと思う」。

◆オンライン上書店の影響力が日々増大し、我々の周辺から本屋が一つや二つと姿を消して久しい。1999年、国内初のネット書店「イエス24」が登場した当時、5000店に上った全国の書店は、2011年、1752店へと減った。中小型本屋が没落した理由の一つは、オンライン書店が主導する価格割引競争に、耐えることができなかったためだ。街中本屋は、出版社から本を購入する時、定価より25〜30%ほど割引を受けるが、ネット上の書店は、大量購入のため、よく売れそうな本のみ選んで、一際安い値段で購入できる。これを基に、オンライン書店は、オフラインの書店より一段と安い価格で本を販売し、急成長を遂げてきた。大手出版社のベストセラーを中心に、本の価格の割引競争が激しくなり、街中の本屋は一つ、二つと店を畳んだ。

◆出版市場の状況が極めて悪化すると、本の定価制を見直すべきだという声が力を得ている。しかし、ネット上書店・アラジンは先月9日、図書定価制を強化することを柱として国会に提出された出版文化振興法の改正案に反対する署名活動を主導してきた。そのため、出版界と対立してきたアラジンが一昨日、降参した。出版会社各社が一丸となって、アラジンへの本の供給を打ち切ると、アラジン側は、出版会に公式に謝罪し、出版関連業界と話し合って、問題を解決するという意思を明らかにした。出版書店業界は、図書定価制に関する意見の隔たりを調整し、共栄協力案について話し合う機関を来週、立ち上げる計画だ。

◆本は、精神的糧を盛り込んだ器であり、知識文化の基となっている。このような特殊性のため、多くの国々で、図書定価制を実施している。経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、16カ国が、図書定価制を実施している。フランスでは、本の定価の5%以上の割引販売を禁止している。無理な本の価格の割引競争は、本屋の没落だけでなく、出版の多様性を脅かす。割引を考慮した価格のバブルが出来上がり、消費者も被害を受けることになる。図書定価制をめぐる意見の隔たりが、一日でも早く縮まり、小さな書店が蘇り、本を読む文化も活性化することを期待する。道端を歩いたとき、しばらく立ち寄って、あの本、この本をめくりながら、たまたま読みたかった本を見つける楽しさを覚えた本屋は、街中の図書館だ。これらが全て消えた町中は、あまりにもさびしいではないか。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com