Go to contents

経済と雇用は経済論理で解決を

Posted December. 21, 2012 04:51,   

熾烈な勝負だったが、国民の選択は終わった。不安な改革よりも安定感のある変化、階層間対立よりも国民大統合が、直面した民生経済の危機を克服する道だと国民は判断した。第18代大統領に当選した朴槿恵(パク・クンヘ)氏が、「保守陣営だけを代表する半分の大統領ではなく、すべての国民に目を向ける民生大統領になる」という約束を守れるよう皆が力を結集しなければならない。

韓国経済は、グローバル経済危機の影響などで、この5年間年平均3%を下回る低成長の中、深刻な若者の就職難と自営業不況を経験してきた。格差が深刻化し、若年層や中産層が希望を失いつつある。民生経済の危機だ。問題は、今後も世界経済の環境が簡単には改善されないという点だ。このため朴氏は、選挙期間中に約束した福祉公約を実践するための青写真を作ることだけに没頭せず、経済の危機状況を打開する案づくりから着手しなければならない。

まず、景気刺激カードを急いで出すよりも、日本のように長期不況の沼に落ちないように成長潜在力を育てることに力を入れなければならない。成長潜在力は、労働力、資本投資、生産性が決定要素だ。労働力供給の拡大に向けては、未就業の若者を企業が必要とする専門人材に引き上げるよう養成しなければならない。企業投資を増やすには、官庁に長く留め置かれている許可書類から一斉に点検し、輸送・エネルギーなどの公共インフラ投資を迅速に解決しなければならない。生産性の向上では、雇用の70%を占めているサービス分野の生産性阻害要素を大胆に取り除く必要がある。供給者を保護するための各種政府規制や進入障壁を減らす改革にも着手しなければならない。

福祉拡大は、財政健全性の枠組みの中で推進することを大原則とすべきだ。大統領当選者は、政府が借金をしてまで福祉を拡大しないと宣言しなければならない。大統領任期中に国家の借金の増加限度を設定し、その枠の中で福祉プログラムの着手時期と推進速度を調節する必要がある。予算の削減や徴税行政の改善で到底解決できない福祉財源規模に対しては、増税が避けられないことを国民に説得することも、指導者の勇気あるリーダーシップだ。

経済民主化に向けた各種政策公約は、雇用創出に及ぼす影響から優先的に推進しなければならない。大企業の経済力の乱用、不公正行為は徹底的に規制し、中小企業やサービス分野の自営業者も暮らせるようにしなければならない。そうなれば、若者の中小企業忌避現象も解決できるだろう。しかし、企業の支配構造の改善に向けた循環出資規制と金産分離を強化するための規制は、世界的な競争力と雇用創出に及ぼす影響を綿密に検討し、段階的に推進するのが望ましい。

また、家計負債問題が金融危機の雷管にならないよう安全装置を設けなければならない。家計負債の60%を占める住宅担保融資は、1、2年後の一時償還方式から10〜20年後の分割償還方式に切り替え、融資債権の流動化を制度的に支援する方策を考えなければならない。また、不動産市場規制システムを改革し、1世帯1住宅所有の概念に縛られている税制・建築規制に全面的に手を加える必要がある。

朴槿恵政府は、対外開放政策を後退させず、より積極的に推進し、東アジア経済共同体の建設で先頭に立たなければならない。韓国経済は、輸出環境が悪化すると、内需主導の成長構造に転換することが容易でないため、中国市場で未来を開かなければならない。

最後に直面した経済危機を克服し、庶民も支援し中産層を育成する民生大統領として成功するには、選挙の時に支持しなかった国民階層との疎通能力を高めなければならない。そのためには、まず国会で「与野政協議機構」を設置し、大統領が直接参加して、説得し妥協する慣行を定着させなければならない。また、憲法機関である「大統領経済諮問会議」を大統領府内部に機構化し、大統領が直接運営しなければならない。

朴氏が、国民統合を通じて民生経済の活性化に成功した大統領になることを心から望み、次のような厳しい事実を強調したい。選挙は「政治論理」で解けば勝利できるが、経済と雇用は「経済論理」で解かなければ成功できない。