来年2月に就任する次期大統領は、揺れ動く外交・安全保障の環境に直面することになる。2期目のオバマ米政府と新しい指導者、習近平総書記が率いる中国が主導する変化の影響を直に受ける地域がアジア太平洋だ。韓国大統領選挙の3日前に姿を現す日本の新政権の右傾化政策も挑戦的だ。北朝鮮の長距離ミサイル発射が成功するかどうかに関係なく、19日の当選と同時に大統領に突きつけられる懸案だ。
4日、朴槿恵(パク・クンヘ)、文在寅(ムン・ジェイン)候補が初めてテレビ討論を行い、外交・安保・統一構想を明らかにした。有権者は両候補の政策を比較し、賢明な判断をしなければならない。国内政治も重要だが、国益をめぐって角逐を繰り広げる外交舞台で国家の地位を高める能力を備えた指導者を選んでこそ、大韓民国の未来は明るい。未来ビジョンと共に韓国が直面する懸案を解決していくリーダーシップと対策を備えた指導者が誰なのか判断しなければならない。
朴候補と文候補は、北朝鮮政策で大きな違いを見せた。朴候補は「韓半島信頼外交」を推進するとし、ソウルと平壌(ピョンヤン)に南北交流協力事務所を設置する案を示した。そして、北朝鮮による哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没、延坪島(ヨンピョンド)砲撃、金剛山(クムガンサン)観光客射殺事件を挑発と規定し、謝罪と再発防止を求めた。文候補は、北朝鮮の天安艦沈没後の韓国政府の北朝鮮制裁5・24措置を解除するとし、異なる見解を示した。文候補は就任式に北朝鮮代表を招待し、就任初年度に南北首脳会談を実施するという公約も発表した。
南北関係の膠着の原因についての両候補の認識が異なるため、対策にも違いが出る。朴候補は、北朝鮮の挑発が南北関係の膠着を招いたと判断し、文候補は李明博(イ・ミョンバク)政府の北朝鮮強硬政策が原因を提供したと主張した。両立できない見解の違いだ。誰の手を取るのか、判断は有権者の役割だ。
朴候補は「韓半島経済共同体」、文候補は「南北経済連合」という壮大な公約を提示した。北朝鮮が対話に応じたとしても、5年の任期内に達成が不可能な計画だ。実現の可能性が小さい公約を出し、有権者の歓心を買おうという姿勢は受け入れられない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、長距離ミサイルを発射する準備を着々と進めている。ミサイル発射の予告は、韓国や米国と誠意をもって対話する意志がないという証拠だ。北朝鮮がミサイル発射を強行すれば、次期政府は国連が主導する北朝鮮制裁の枠組みの中で北朝鮮に対するほかない。朴、文候補は今からでも北朝鮮の慢性的な挑発を常数と見なし、これを突破する北朝鮮政策を考えなければならない。






